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二人のはじまり 6■2002年03月26日(火)
車の中での電話は30分ほど続いていた。
外は雨が降り出し、雨粒が屋根を打つ音がだんだんと大きくなっていた。
「ねえ、どこ行く?」
生徒はまた同じことを聞き始めた。
馬鹿なことを言うんじゃない、手を怪我したばっかりだろう。今日は休みなさい。
「やだ。」
それに、もう12時過ぎたよ。家の人が心配するよ。いや、こんな時間に出してくれないだろう?
「え?そんなの関係ないよ。あの人達は別に私のこと気にしてないから。」
そうなの?
「そうだよ。普通、普通。」
僕は返事に窮していた。
そのとき雨足が激しくなり、雷鳴まで聞こえ始めた。
嵐とはこのことだな、と思った。
「先生、雨すごくない?っていうか、大丈夫?」
まあ、大丈夫だよ。車の中だから。
「でも、なんか、もう、いいや。今日は無理だよね。明日は?」
そうだな。天気も良くなるだろうしね。そうしよう。 今日は休みなさい。
「はーい、なんか電話しちゃってごめんね。」
ああ、でも、ほんと、君が無事で安心した。
僕らは午後に会う約束をして電話を切った。
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