Experiences in UK
DiaryINDEX|past|will
2005年08月08日(月) |
第103-104週 2005.7.25-8.8 新型ダブル・デッカーの感想、自己主張と自己抑制 |
サマー・ホリデーの季節です。7月中旬くらいから、朝の通勤時の道路が目に見えて空き始めました。
(新型ダブル・デッカーの感想) 通勤バスが旧型から新型に変わって約二週間が経ちましたが、慣れているものへの贔屓目があるとは言え、新型バス(ワンマンバス)にはいらつくことが多いというのが実感です。 まず、旧型は人を乗せる際に、とりあえず全員が乗ってから車掌に運賃を支払うシステムだったのが、新型の場合、ドライバーのところで各人の支払が済んでから発進するため、いちいち時間がかかります。中には支払にまごつく人とか、このバスはどこまで行くのかなどドライバーに聞いている人とかいるため、停留所での停車時間が旧型の倍以上かかります。 そして、停留所でしか乗降できないため、渋滞時には、目の前に目的地が見えているにもかかわらず、到着して扉が開くまで車内にいなければなりません。もう歩いた方が早いよ、というケースはままありますが、ちょっと先の目的地を恨めしげに眺めながらバスに乗っているのはストレスがたまるものです。
確かに、乗り心地は格段によく、車内もきれいで、バスの加速も旧型と比べるとはるかにいいのですが、それらメリットと比較考量しても、旧型がよかったなーというのが正直な感想です。もっとも、これまでの旧型バスの形態の方が特殊なのであって、日本のワンマンバスと同じであるロンドンの新型バスの形態にも、そのうち慣れてくるのでしょうが。
(自己主張と自己抑制) 「イギリスのいい子 日本のいい子」(佐藤淑子著、中公新書)という新書本があります。日・米・英の子育てを比較することで、各国の文化の違いを考察しようとするものです。この本で一貫して説かれている各国民の特徴をまとめると、以下のようになります。 「自己を主張すべき場面でも抑制すべき場面でも、自己主張するアメリカ」 「自己を主張すべき場面では主張し、抑制すべき場面では抑制するイギリス」 「自己を主張すべき場面でも抑制すべき場面でも、自己抑制する日本」
日本は、バランスを重視するイギリス型の教育方針を見習うべきというのが本書の主張で、イギリス寄りのバイアスがかかっている本なのかもしれません。ただ、アメリカ人のことはよく知らないのですが、上記の分類は傾向として当たっていると思います。 イギリス人の国民性としてunderstatement(控えめな表現)ということがしばしばあげられたり、イギリス人はqueue(行列)を作ってじっと待つことが好きな人々だとよく指摘されるとおり(その通りです)、一見するとイギリス人は日本人と似て、自己抑制型の国民のようにも思えます。しかし、そこはアングロ・サクソンということなのかどうか、やはり自己主張もしっかりする人々です。 卑近な例でいうと、バスで窓際に座っていると、周囲の人から「窓を開けてください」とよく頼まれました。日本人であれば、しばらく我慢するか、少し無理な姿勢になってでも自分で窓を開けようとすると思いますが、多くのイギリス人は躊躇なく、見知らぬ人であっても至近の人に依頼します。
上記の本でも主張されていましたが、自己主張を重んじるイギリスやアメリカでは、単に主張すればよいということではなく、自己主張する際に必要な気配り、礼儀、作法(ジョークにまぶすなど)の重要性もしっかりと教え込むとのことです。この点も英国で暮らしていて同意できる点です。当たり前のことですが、人にものを頼む際にExcuse meやThank youが欠けているやりとりはあり得ません。
(長男の英語) 長男(4歳)は、7月上旬に近所のナーサリー(幼稚園)を「卒業」し、9月からはレセプション(小学校の準備段階。英国の小学校は5歳から始まる)という課程に進みます。卒業したナーサリーには、保育園の段階から数えると約1年半通っていたことになります。 卒業時の集合写真を見ていると、言葉の問題や文化・教育観の違いの問題に戸惑ったこと、英国の〈こども社会〉に親子ともども順応する手段を模索したことなどが思い出されて、親として感慨ひとしおといった感があります(という感想は、実際には何もしていないに等しい私ではなくて、妻が漏らすべきものですが・・・)。
これまでのナーサリーは近所にある私立に通わせていたのですが、9月からは別の公立学校に通わせる予定です。これは、本人にとっても親にとってもかなり大きな環境変化となります。 まず、家からはかなり離れた場所になり、毎日午後まで学校にいるという点が違います。また、もちろん学校で教える内容が違ってきます。これまでは遊び中心でしたが、読み・書きと計算の初歩が入ってくるようです(現在の英国は、政策として初期教育に非常に力を入れている)。さらに、学校の規模が大きくなって全体の人数が増え、クラスの中の人種構成が多様化します。これまではほとんど白人でしたが、今度からは黒人をはじめとして様々な人種のこどもがいるようです。 そして何よりも最大の変化は、違う学年も含めて学校の中に日本人クラスメートが一人もいないという点です(これまでは日本人のクラスメートが二人いた)。親を含めて必ずしも英語が達者ではないため、9月以降のことを考えると親子ともども不安が頭をよぎります。もっとも、長男本人は9月から始まるschoolを心待ちにしているのですが。
長男は英国人の友人も沢山いて、楽しそうに遊んでいるようですが、やはり日本人のこどもと遊ぶ方が楽しいようです。ちょっと前までは、同年齢の英国人のこどもとの言語能力の差異は目立たないように思ええたのですが、そろそろはっきりしてきたのかなあと感じています。 先日の土曜日、近所の子供向け水泳教室に通っている様子を見学してきたのですが、長男は先生の指示を完全に理解しているように見えなかった一方、一緒に通っている同年齢のフランス人の友達は完全に理解していました。彼は家庭内ではフランス語らしいのですが、長男と比べて英語力が格段にしっかりしているようです。英語とフランス語は兄弟みたいなものなので英語の上達が早いのでしょうし、親も英語が達者な家庭なのでその違いも出ているのでしょう。
今の長男は、日常会話の中でポコッ、ポコッと英単語とか英語表現が出てくる状態ですが、このあと一年で英語でコミュニケーションを取れる段階までいくのかどうか。私としては、英国人のお友達と物怖じせずに遊んでいる姿を見るにつけ、我が子ながら尊敬しているのですが。
|