Experiences in UK
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2005年01月18日(火) |
第73-75週(その2) 2004.12.27-2005.1.17 コーンウォール旅行2 |
(ティンタジェル) 以前、「英国のお城ベストテン」というテレビ番組(04年2月16日、参照)で三位に輝いていたお城ティンタジェル城は、コーンウォール半島北側の岸壁沿いにあります。今回の旅行で是非とも訪れたかった場所の一つだったのですが、今回は残念ながら城までたどり着くことができませんでした。 理由その一は、訪れたのが一月一日だったために城が閉まっていたことであり、その二は、悪天候だったことであり(雨と風がきつかった)、その三は、駐車場から城までの道のりが険しくて長い崖の道だったことです(幼児連れではちょっと尻込みする)。城の影だけ遠望することができましたが、凄いところに建っているお城です(現在は廃墟ですが)。 ティンタジェル城は、学術的には13世紀頃に作られたとされているようですが、まだよく分かっていない部分も多く、アーサー王がここで生誕したという伝説がまことしやかに伝えられています。アーサー王は、5〜6世紀に大陸から侵攻してきたアングル人、サクソン人と勇敢に戦ったとされる古代イングランドの英雄ですが、実在の人物かどうかは不明ということで、アーサー王自体が伝説の人物なのです。
ところで、城に一番接近できる自動車道の行き止まりに一軒のB&Bがありました。B&Bにしては3〜4階建てのえらく立派な建物だなあと思い、外壁をよく見ると”Tintagel Castle Hotel”という文字のはげた痕跡がくっきりと残っていました。推測するに、かつては城を売り物にした立派なホテルだったのでしょうが、経営難で閉鎖の憂き目にあい、現在はその建物がB&Bとして活用されているのだろうと思われます。そのB&Bが現在は流行っているのかどうか不明ですが(営業はしていたように見受けられました)、幽霊ホテルのような不気味な佇まいでした。
というわけで、城まで行けなかったのは残念だったのですが、ティンタジェルという村自体が、幹線道路から外れた断崖沿いにある異次元空間のような村でした。文字通りひなびた田舎村で、この村の郵便局は歴史的建造物らしく、局舎がナショナル・トラストにより管理されています。 また、ケルト海に面したこの村では、この日のような悪天候も珍しいことではないようです。ツーリスト・インフォメーションにいたおじいさんに「A happy new year!」と声をかけて、せっかく来たのに悪天候で残念だったと言うと、一言「Typical」という言葉が返ってきました。 是非とも再訪してみたいという強い思いを残して、この印象深い田舎村を後にしました。
(エクスムーア国立公園) ティンタジェルから北上してデヴォン県に入ると、半島北側の根元あたりにもう一つの国立公園であるエクスムーア国立公園があります。ダートムーア同様、なだらかな丘陵地帯に果てしなく原野が続いている国立公園です。
今回の旅の最後の宿は、エクスムーア国立公園内にあるファーム・ハウスでした。ファーム・ハウスというのは、文字通り農場が経営している宿のことです。豊かな自然環境や動物たちとのふれあい、新鮮な食材を用いた食事が共通する特徴のようです。 我々が泊まったファーム・ハウス(Twitchen Farm)はオーナーの女性がシェフとして修行を積んだ経験のある方で、美味しい食事を売りの一つにしていました(大人一食£17.5と立派な値段です)。実際、一泊目の夕食にでたシェパーズ・パイ(挽肉とマッシュポテトの混ぜあわせをパイで包んで焼いたもの)は、その辺のパブなどで食べるものと比較にならないほど美味しいものでした。
個人的な印象としては、コナン・ドイル「バスカビル家の犬」やアガサ・クリスティ「スタイルズ荘の怪事件」などミステリー小説の舞台ともなった英国らしい暗いイメージのダートムーア国立公園と比べて、より起伏に富み、海も望めるエクスムーア国立公園の方が、明るく美しい公園だと感じました。 エクスムーア国立公園は、周辺にも魅力的な場所があります。公園の東の端っこには、蒸気機関車を走らせる保存鉄道(West Somerset Railway)があり、長男へのサービスとして、往復一時間程度の汽車の旅を楽しみました。また、その近くにある小さな街ダンスター(Dunster)は、城を中心とした上品で美しい街でした。ナショナル・トラストに管理されたダンスター城は、今回時間の都合で訪れることができませんでしたが、機会があればまた来たいと思いました。
イングランドとウェールズには11の国立公園があります。エクスムーア国立公園は、我々にとって六番目に訪れた国立公園ということになります。
(コーンウォール旅行雑感) 旅行中の宿ではテレビを見る機会が多くなりますが、12月28日から1月3日までの旅行期間中は、津波のニュースばかり見ていました。BBCは津波発生の直後から、ほぼ一日津波関連のニュースを流し続けていました。 当初のBBCのニュースタイトルはAsian quakeでしたが、途中からAsian tsunamiに変わっていました。私の記憶では、どこかのメディアでは当初、High tidal wave(高潮)とかいう表現を使用していましたが、事ほど左様に多くの英国人の津波に関する知識は限りなくゼロに近いものだったようです。それだけに、ニュースで流れる映像と日ごとに膨れあがる被害規模の大きさに対して、人々は恐怖と驚愕の念を募らせていたようでした。BBCニュースはテーマを刻々と変えながら(被災地の現状→英国人被災者とその家族の状況→被害の実態→津波の仕組み→緊急援助の態勢)、津波関連のニュースを伝え続けていました。 そのようなメディアでの重点的な報道に応えるかのように、草の根レベルでの募金活動等がもの凄い勢いで起こっていたのも印象的でした。エクスムーア国立公園内のコンビニ(日本の田舎にあるパパママ・ストアのようなもの)に立ち寄ったところ、カウンターに「本日○時から○○において、Tsunami appeal集会があります」という手書きのパンフレットが置いてありました。
ところで、英国内で料理のおいしい地方はどこか?という難題に対する多くの方の共通見解として、「コーンウォール地方はちょっと違う(なかなかおいしい)」というのがあります。我々としても、この見解に一票投じたいと思いました。他の地方とさほど大きな違いがあるわけではありませんが、フィッシュ・アンド・チップスひとつとっても美味しいと感じられました。 この地方の特産物のひとつに、コーニッシュ・パスティという軽食があります。ロンドンなどでも売られており、ロンドンで食べた時は全く美味しいと思わなかったのですが、ランズエンド近くの街ペンザンスで食べたパスティはとても美味しかったです。ロンドンで売られているパスティとは全く違う代物でした。 もうひとつ、英国定番のお菓子スコーンに必須のクロテッド・クリームの原産地がコーンウォール地方です。ダートムーア国立公園内のティールームでスコーンを食べたのですが、そこで出てきたクロテッド・クリームは非常に濃厚で、味は同系統ながら、やはり都会のスーパーで売られているものとはかなり違う代物でした。私は好きでしたが、妻は少し気持ち悪くなっていたようでした。
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