Experiences in UK
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2004年10月25日(月) |
第62-63週 2004.10.11-25 南ウェールズ |
先々週、週末を挟んで3泊4日の南ウェールズ旅行に出かけてきました。ウェールズは、人も風景も明るくて、前回(4月19日、参照)に続いて好印象を受けて帰ってきました。
(カーディフ Cardiff) ロンドンから高速道路M4を真っ直ぐ西へひた走ると、約三時間でウェールズの首都(という表現は少し変ですが)カーディフに到着します。 カーディフが正式にウェールズの首都になったのは1955年と最近のことです。カーディフは、英国らしからぬ活気と華やぎを体感することができる町でした。町を少し歩いただけで、どこか古ぼけたロンドンの風景と違って、日本の新興都市に類似した雰囲気が感じられました。
町の中心には、歴史を象徴するカーディフ城と現在のカーディフの象徴とも言えるミレニアム・スタジアムが目と鼻の先の距離で建ち並んでいます。ミレニアム・スタジアムは、収容人員が7万人以上という巨大スタジアムです。英国で唯一の開閉式屋根を装備したスタジアムであり、その偉容が観光客の目をひきます。このスタジアムは、1999年のラグビー・W杯(ウェールズ他主催)にあわせて竣工されました。
(ガウアー半島 Gower Peninsula) 一日目の宿は、カーディフから更に西に小一時間走った場所にあるウェールズ第二の都市スウォンジー(Swansea)近くのB&Bに取りました。スウォンジーは、ガウアー半島の根元に位置する港町です。 ガウアー半島は、美しい海岸線の景勝地が有名です。かつて英国国内の自然の海岸でベストワンに選ばれたことがあるそうです。翌日に我々が立ち寄ったスリー・クリフス・ベイやロッシーリ・ベイからも絶景を望むことができました。 スリー・クリフス・ベイは、半島の真ん中あたりにあります。幹線道路から逸れて車一台がようやく通れる細い道をだらだらと下っていき、車二台分程度の草地に車を停めると、山あいから絵に描いたような海岸風景が開けていました。
ロッシーリ(Rhossili)は、さらに一時間ほど車を走らせた半島の先端にある海岸です。道路の行き止まりにある駐車場は断崖の上にあります。右手に見える崖の下には、数キロにわたる美しい白砂の砂浜があり、陸の側のロッシーリ・ダウンと呼ばれる丘陵地が柔らかい陽の光を受けて明るく輝いていました。 岬の突端まで延々と歩道が続いており、断崖の上では羊がのんびりと草を食べていました。断崖の途中にへばりつくようにして点々と羊がいたのも印象的でした。草は崖の上にもたくさん生えているのに、どうしてあんなに恐ろしい崖を下りて行く羊がいるのかよくわかりません(それにしても、英国はどこに行っても羊がいます)。 ロッシーリの海岸線は、ナショナル・トラストにより管理されています。ぽつんと建っているナショナル・トラストのショップの横には、ベビー・チェンジ(おむつ替えスペース)のある清潔なトイレが併設されていました。ロッシーリは、幼児を連れてのんびりと時間を過ごすには最適の場所でした。
(ペンブルックシャー・コースト国立公園) ガウアー半島の西隣に突き出ているウェールズ南西部の海岸一帯は、国立公園に指定されています。 この地方にまつわる歴史上の人物といえば、ヘンリー七世です。ヘンリー七世は、ペンブルックシャー城で育ち、後にウェールズ南西部から軍をあげてリチャード三世を破り、バラ戦争に終止符を打った人物です(シェークスピア「リチャード三世」などでお馴染みの歴史ストーリー)。
この地方は、もう一人、ウェールズにとって重要な人物を輩出しました。国立公園の最西端にある町セント・デイヴィッズは、ウェールズの守護聖人である聖デイヴィッドが誕生した町です。12世紀に建てられた立派な大聖堂があり、中世の時代からウェールズにおける巡礼の地になっていたそうです。 町から30分ほど走ったところにあるセント・デービッド岬(St.David’s Head)は、夏には海のレジャーが盛んなところのようでした。海岸から岬の先端へと、崖沿いをのぼっていく道がついていたので、4か月の長女を身体に縛り付けてちょっとした登山にチャレンジしました。30分ほどのぼったところでようやくナショナル・トラストの標識が出てきたのですが(ここの海岸もナショナル・トラストのプロパティ)、ゴールはまだまだ遠そうだったので、ここで引き返してしまいました。そこまででも、崖の上からの海の眺めは絶景の連続でした。
(ホワイトホール・ロッジ) 二〜三日目の宿は、観光都市テンビー近くにあるホワイトホール・ロッジ(White Hall Lodge)というB&Bにしたのですが、ここは我々がこれまで英国で泊まったB&Bのなかで最高の宿でした。 宿は主要道路から外れた人里離れた静かな場所にあり、清潔で近代的かつお洒落な設備が整ったゆったりした部屋と居心地のいいダイニング・ルーム、広くて手入れの行き届いた芝生の庭があります。グラウンド・フロアー(一階)だけの建物が、なにか落ち着いた気分にさせてくれます。このB&Bは、もちろんchildren wellcomeであり、暖かい季節だと庭で子供を遊ばせることもできるでしょう。 ホストの老夫婦(ボブとラス)のホスピタリティあふれるもてなしも素晴らしいものでした。それぞれの品が丁寧かつ上品に作られたトラディショナル・イングリッシュ・ブレックファーストは、概念矛盾のような気もしましたが、やっぱり美味しかったです。 B&Bとして望みうる最高の宿でファミリー・ルームが一泊60ポンド(家族全員で)というのは、破格の安値といえましょう。
ホワイトホール・ロッジでは夕食が出ないため、ラスにお薦めの近隣レストランを紹介してもらったのですが、紹介されたレストランのレッドバース・ロッジ(Redberth Lodge)もびっくりするほど素晴らしい雰囲気のレストランでした。ロッジ風の広い店内は、ウェイティング・バーのあるお洒落な作りなのですが、店員はたいへん気さくで、あちこちで客と談笑している様が見られました。Children wellcomeであることも家族連れとしては安心です。
(ブレコン・ビーコン国立公園) 最後の日、ロンドンへの帰途にブレコン・ビーコン国立公園に立ち寄りました。ブレコン山を中心とした四つの山脈から成る広大な公園で、手つかずの雄大な自然風景を眺めながらのドライブを存分に楽しむことができました。それぞれの山が800メートル程度という手ごろな高さであることが、見る楽しみを倍加させている感じでした。 園内にはいくつかの見所があるのですが、我々は欧州最大級という鍾乳洞(The National Showcaves Centre)に入ってきました。暗くて不気味な鍾乳洞探検に長男はややビビリ気味でしたが、面白い体験ができたのではないでしょうか。
私にとって特記すべきは、ショウケイブ・センターを出てすぐのところにあるパブGWYN ARMSです。ランチを取るためにたまたま立ち寄ったこのパブは、たいへん素晴らしいパブでした。 GWYN ARMSはフリーハウスで(フリーハウスについては、5月10日、参照)、店主である丸太のような腕のいかついおやじが、おいしいこだわりのビールを飲ませてくれます(一杯だけしか飲んでおりません。為念)。プレイ・グラウンドを併設したこのパブはchildren wellcomeで、おやじをはじめとしたすべての店員が気さくで明るい雰囲気にあふれていました。 おやじは手があくと、各テーブルを回って一言二言の会話を楽しんでおり、我々のテーブルに来た時も長女を抱き上げて”so cute!”とだみ声で言ってくれました。料理も売りにしているパブであり、私が食べたオムレツは掛け値なしのおいしさでした。
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