Experiences in UK
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2004年10月11日(月) 第61週 2004.10.4-11 ウェールズが消えた?、英国人の15%は無宗教

(ウェールズが消えた?)
先週、欧州委員会による前代未聞の大失態がちょっとしたニュースになりました。
EUの行政機関である欧州委員会では、毎年、“Eurostat Year Book”というEU各国の統計に関する年鑑を発行しています。この年鑑の表紙全面にはEU加盟国から成る欧州地図がレイアウトされているのですが、先週リリースされた2004年版の表紙地図を目をこらしてよく見ると、英国の地図が微妙にほっそりしています。なんとウェールズ地方だけがすっぽりと抜け落ちた地図だったのです。
委託先のデザイン会社によるコンピュータ・グラフィックスの操作ミスによるものだったようですが、当然の事ながら欧州委員会は平謝りでした。

この一件、英国(とりわけウェールズ)にとっては失礼極まりない話だと思うのですが、明らかに作業上のミスによるものであり、英国のメディアは冗談交じりに伝えていました。
例えば、10月6日付のタイムズ紙は、「8000平方マイルの土地と290万人の人々と無数の羊がそこから消えている」とし、「これは気候温暖化の影響による海水の上昇が、3650フィートのスノードン山ですら埋没させることを示している」と続けています。また、同日のFT紙は、「昨日ブリュッセルの本部から英国のユーロスタット事務所に送られたはずの同書は英国に届いていなかった。多分英国の事務所が南ウェールズのニューポートにあるからだろう」という具合いでした。
タイムズ紙によると、ウェールズ人もこの失態に呆れつつ一笑に付しているそうです。

ただし、冗談で済まなかった人もいます。本件が発覚した先週前半は、野党・保守党の党大会が実施されていたのですが、現党首のマイケル・ハワードはウェールズ出身だったようです。折しも今年の保守党・党大会の主要テーマの一つが、EUとの関係見直しであったこともあり(9月27日、参照)、ハワード氏は「それ見たことか」と言わんばかりにEUへの攻撃材料にしていました。欧州委員会にとっては誠に間の悪い話でした。

(長男のスクール・ライフ)
英国の義務教育は5才から16才までです。九月の時点で5才になっている子供は、プライマリー・スクールと呼ばれる小学校に入学します。
そして、義務教育が開始される前の一年間は、幼稚園に当たるレセプションという過程があり、更にその前の一年間は保育園(或いは幼稚園・年少組)に当たるナーサリー・スクールに通うのが一般的です。

うちの長男は、今年九月時点で三歳なので、先月から地元の私立ナーサリー・スクールに本格的に通い始めました(基本的に午前中だけですが)。早速クラスで一番のヤンチャ坊主として先生から目を付けられているらしく、迎えに行く妻は毎日のように先生から注意を受けているようです。言葉がわからない代わりに、コミュニケーションにおいて肉体言語を激しく活用しすぎるきらいがあるらしく、困ったものです。いじめられて泣いているよりはいいのかもしれませんが。
ただ、様子を聞いていると、どうも白人のこどもたち(クラス・メートは、うちともう一人の日本人の他は全て白人)が、余りにお行儀が良すぎるのではないかという気がしなくもありません。長男のスクール・ライフは始まったばかりであり、もうしばらく様子をみる必要があるでしょう。

(英国人の15%は無宗教)
前回、「英国人の個人や社会の中心に宗教がしっかり根付いている」と書きました(10月4日、参照)。国の歴史や政治と深い関係を持つ英国国教会(アングリカン・チャーチ、正確にはイングランド国教会)を擁する国であり、どんな町にも必ず教会が建っており、さらに移民の人々もムスリムなどの敬虔な信者が多いので、大きく間違ってはいないと思うのですが、一方で最近の英国の若者の間で教会(キリスト教)離れが進んでいるということも耳にします。

11日、英国政府は2001年に実施した国勢調査の中から、英国人の宗教に関するデータのプレス・リリースを行いました(宗教が国勢調査の調査項目に入ったのは初めてらしい)。それによると、英国人の15%(860万人)が「無宗教」と回答したそうです。最大の勢力は当然「キリスト教」で72%(4100万人)、次が「ムスリム」(160万人)だそうです。
やはり数字上は、英国はキリスト教の国といって間違いなさそうですが、政府のプレス・リリースで焦点が当たっていたのは「7人に1人が無宗教」という結果でした。


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