Experiences in UK
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2004年06月21日(月) |
第44-45週 2004.6.7-21 ロンドンでの出産 |
ロンドンに来てから10か月が過ぎました。この街の暮らしも風景も大いに気に入っているところなのですが、一つだけ難儀なのが花粉症です。今年が特別なのかどうか分かりませんが、日本にいた時よりも症状がひどくて、この二ヶ月ほど重度の花粉症が抜けません。 この国では、タンポポの綿毛のようなものなど色々な浮遊物が空中に舞っているのを肉眼ではっきりと確認することができます。これらを常時吸引していると想像するだけで、もう鼻水が出てきてしまいます。それだけ緑が多いということなのでしょうが、花粉症持ちにはたまりません。 日本で常用していた薬が手放せない毎日です。
(ロンドンでの出産) 予定よりも二週間近く早くなったのは一人目の時と同様なのですが、18日の夜、無事に二人目の赤ん坊が産まれました。2986グラムの元気な女の子でした(体重はまずはパウンドで告げられて、その後計算機で換算したグラムの体重を教えられました)。今回は周囲の方のご助力のおかげもあって、私も出産に立ち会うことができました。 妻は今回の出産で、アクティブ・バースというスタイルを選択しました。アクティブ・バースとは、分娩台を使わずに自由な姿勢で出産するというもので、できるだけ自分の意志や力で産もうという発想の出産スタイルです。日本ではあまり普及していませんが、英国ではかなり一般的なスタイルのようです。
英国での出産には、このような病院とか医師に依存しないという考え方が全体を通じて貫かれているように思いました。一般に日本で病院に駆け込むタイミングとされているのは陣痛が15〜20分間隔になった時なので、今回もこのタイミングで病院に電話したのですが、「5分間隔になったら来てください」と言われました。後で聞くと、陣痛の間はなるべく自宅で過ごす方がよくて、病院では最後のお産だけを行うという考え方が、こちらの病院にはあるそうです。 というわけで、結局病院に行ったのは最初の陣痛から14時間ほど経った後で、出産のための部屋に入った時には歩行が困難なくらいの状態になっていました。部屋に入ってからは、3時間程度でお産は終わりました。お産を手伝ってくれるのは助産婦(ミッドワイフ)二人だけで、医師は翌日のメディカル・チェックにやってきただけです(ちなみに、助産婦さんはとても信頼できる良い方たちでした)。
日本では、たとえ父親であっても新生児を抱く際には、消毒をしたうえで専用の着衣を身につけてたくさんの新生児が並んでいる新生児ルームに入る必要がありましたが、こちらでは出産をしたその部屋で毛布にくるまれた新生児を手渡されてそれっきりでした。沐浴もなく、身体測定と基本的なチェック、ビタミンKの注射だけして終わりです。そもそも新生児ルームというものはなく、赤ん坊は妻のベッドの隣で専用ケースに入れられてすやすやと眠っていました。 そして、お産の翌日にはもう退院です。日本では一週間ほど至れり尽くせりの病院暮らしがありますが、こちらではお産の次の日には退院するのが一般的で(ただし、プライベート医療の場合は違うようです)、その代わり産後10日間ほど、助産婦がメディカル・チェックや諸々のアドバイスのために家まで訪ねてきてくれます。以前にご紹介したとおり、これらのサービスは外国人を含むすべての人に対して無料で提供されます。 当初は、「英国では出産の翌日には病院を追い出される」とのことで(故ダイアナ元妃もそうでした)、ちょっとびびっていたものですが、実際に経験してみるとせっかく家族が増えたのに一週間も隔離生活を送るよりもいいのではないかという気がしています。むろん、妻にとって産後の静養が大切なことは言うまでもないのですが。 また、「病院を追い出される」という感じはまったくなくて、英国方式の一連の流れの中で考えるとそれが自然な気もしました。お産は病気ではないのだから、赤ん坊さえ産まれれば病院にいる必要はないということなのだと思います。今となっては、半分はホテルと化している日本の産院のありように少し疑問を感じます。
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