Experiences in UK
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2004年06月07日(月) |
第43週 2004.5.31-6.7 英国の度量衡、テニス四大大会のウェッブ・サイト |
現在のロンドンで旬の話題は、ハリー・ポッターとサッカーです。先日、ハリー・ポッターの最新映画が封切られ、テレビなどのメディアにあの少年が頻出しています。サッカーはEuro2004という大きな大会があるらしく、イングランドの旗を立てた車がたくさん街を走っています。 ただ、私はハリポタにも球蹴りにも全く関心がありません。
(全仏オープン・テニス) ティム・ヘンマンというテニスプレーヤーがいます。私は80年代のテニス選手には詳しいのですが、最近はまったく見なくなっていたのでよく知りませんでした。ヘンマンは英国ナンバー・ワンのプレーヤーで(世界ランク9位)、国をあげてテニスが大好きな割に伝統的に強いプレーヤーに恵まれない英国において、「英国テニス界の至宝」くらいに考えられているプレーヤーのようです。 そのヘンマンが、全仏オープンの男子シングルスで準決勝まで勝ち進みました。準決勝では、今年の全仏オープンを席巻しているアルゼンチン人プレーヤーの一人に惜敗してしまいました(ラグビーやテニスに限って言うと、このところアルゼンチンのスポーツ選手の躍進が顕著なような気がします)。 準決勝進出はヘンマンにとって全仏オープンで最高の成績であり、新聞やテレビなどではヘンマンの活躍を大きく取り上げて盛り上がっていました。
(英国の度量衡) 準決勝前日のタイムズ紙にヘンマンと対戦相手のプロフィールをまとめた表が掲載されていました。年齢、出身の後に身長と体重があるのですが、ヘンマンの身長が「6ft 1in」で体重が「170lb」となっていました。 現在の英国では公式には、長さはメートル、重さはグラムで表示することになっているのですが、現実にはいまだにフィートやパウンドでの表示が主流になっています。ヘンマンの身長は6フィート1インチで、体重は170パウンドということで(lbとはラテン語によるパウンド表示libraの省略形)、我々日本人にはさっぱりわかりません。 体重については、より伝統的な単位である「ストーン」というのも流通していて、ややこしい限りです。1stone=14pounds=6.356kgらしく、ヘンマンの体重は77kgということになります。また、身長の方は、1feet=0.3m、1inch=2.5cmということで、183cmということになります。 道路標識における距離の表示もすべてマイル表示です。「〜まで10マイル」とか「速度制限40マイル」の標識は、それぞれ1.6倍してキロに換算しないと我々の感覚になじみません。
(ボリス・ベッカー) 今回、全仏オープンのBBCでの番組の解説者としてジョン・マッケンローが招かれていました。マッケンローは、ウィンブルドンの全英オープンでも毎年解説をしているようです。私がみている限り、テニス関係で英国のメディアにしばしば登場する過去のスター選手としては、マッケンローの他にボリス・ベッカーがいます。 最近、ベッカーは自伝を出版したらしく、数週間前にタイムズ紙の週末別冊版でその本の特集が組まれていました。最後に出場したウィンブルドン大会の試合後に、行きつけの日本食レストラン(Nobu)で痛飲し、その後で妻子がありながらNobuで知り合ったある女性と関係を持ってしまい、数ヶ月後に「あなたの子供を産みます」というFAXを受け取って驚愕し、DNA鑑定を経て認知、現在もロンドンの高級マンションにその女性と子供を住ませているというちょっとドジな赤裸々ストーリーが綴られているようです。 マッケンローとベッカーが英国のメディアに頻繁に登場するのは、両者ともテニス界のみならずウィンブルドンの全英オープンにおいて記録と記憶に残る足跡を残しており英国で特にリスペクトされているからだろうと考えていましたが、(それもあるのでしょうが)ベッカーの場合はそれだけの事情ではないようです。
(テニス四大大会のウェッブ・サイト) ところで、今回、戦況を確かめるために全仏オープンのウェッブ・サイトにアクセスしたところ、テニスの四大大会(全豪、全仏、全英、全米)へのリンクがはられていました。大会ごとに専用のサイトが開設されています。 どれもコンテンツは似たり寄ったりなのですが、微妙な差異が面白かったのでご紹介します。私が主に比較したのは、各大会の過去の優勝者リストのページです。 まず、サイトとしてもっとも不出来だったのは全豪オープンでした。サーバーの調子が悪いのかつながり具合もよくなくて、今回の比較の対象からも外しました。 もっともデザインがきれいだったのが全仏オープンのサイトです。ただし、優勝者リストは一番あっさりしていて、男女の優勝者が並んでいるだけでした。 記録フェチと言ってもいいぐらいに様々なデータがもっとも詳細に掲載されているのは、やはり全英オープンのサイトです。明らかに英国のお国柄を表したものでしょう。 優勝者リストのデータにもそのような特徴が反映されています。男女別に決勝戦の勝者と敗者の名前とスコアがリストアップされているのは全米オープンのサイトも同じなのですが、全英の場合は、各選手の出身国とシード順位が加わります。さらに、女子の場合は、名前の前にMissとMrsが明記されています。クリス・エバートを見ると、70年代はMissですが、80年代はMrsで登場するという具合です。米国などではフェミニズムの観点からMissとMrsの区別をしない(Msを用いる)のが現代では一般的なようですが、英国では現在も正式な書類では明記して区別するのが正しいとされていると聞きます。 このほか、「男子」「女子」の表記も各国で微妙に違います。全仏はフランス語(Messieurs/Dames)、全英はGentlemen’s/Ladies’、全米はMen’s/Women’sです。年代の並び順にも違いがあります。全英だけが新しいものから順番になっているのに対し、全仏と全米は古いものから順番です。英国びいき的に解釈するとすれば、英国は歴史を誇示することに控えめということなのでしょうか(ちなみに、全仏オープンの第一回は1891年、全米は1887年、全英が1877年)。
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