Experiences in UK
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2003年12月08日(月) 第17週 2003.12.1-8 英国議会の開会式、優勝パレード

ロンドンはどんどん暗くなってきています。参考までに、BBCのウェッブ・サイトから、本日(12月5日)発表の週間天気予報に記載されているデータを紹介します。
 日の出 7時50分前後
 日の入り 15時50分前後
 最高気温 4〜11度
 最低気温 0〜11度

(英国議会の開会式)
さて、少し古い話になりますが、先月26日、英国議会が開会されました。英国議会の開会式は、伝統に則った儀式を現在も受け継いでおり、「英国らしさ」がもっとも典型的かつ大々的に表現される機会です。
当日の朝、執務をしていると、いきなり街に号砲の音が響きわたってびっくりさせられました。これは、女王と王冠などを載せた馬車がバッキンガム宮殿から議会に向かうのに併せて打たれる大砲の音で、合計30発くらいが打ち鳴らされます。この間、馬車が通過する場所(ロンドン中心部)の交通はストップされます。オフィスは、議会やバッキンガム宮殿の近くではあるのですが、「すわテロか」と思うくらいに迫力満点の音が街中に響き渡ります。

エリザベス2世女王が貴族院(House of Lords)本会議場の所定の場所に着席すると、使者が女王の到着を下院(House of Commons)に知らせに走ります。しかし、使者はいったん下院議場の扉の外で中に入ることを拒絶されます。この儀式は、国王が強権を発動して下院議員を逮捕したという17世紀の事件に由来したものとのことです。その後の下院議員(庶民=国民)と国王との間の権力闘争の歴史(立憲君主制確立への歴史)を経て徐々に国民が権力を獲得していったわけですが、この儀式は国王の使者を下院にみだりに入れさせないということを象徴しているそうです。
やがてブレア首相をはじめとした下院議員がぞろぞろと貴族院・本会議場に到着すると、やおら女王が所信表明演説(State Opening)を読み上げます。女王は、内閣の作成した演説原稿を読み上げるだけなのですが、演説を作成した方のブレア首相たちはそれを議場の周辺で立って聞いている(下院議員は貴族院の議場に入れないため)という摩訶不思議な場面が展開されます。女王や貴族院議員などの衣装は、由緒ある独特のものであり、まるで時代劇の一場面をみているような気にさせられます。
ただし、ブレア政権になってから、このような茶番を縮小・廃止する方向での検討が始まっています。すでに一部の時代がかった衣装は現代風に変更されたのですが、8日付当地メディアの報道によると、与党・労働党は女王による所信表明演説自体の廃止を検討しているそうです。外国人としては非常に興味深い儀式であり、廃止は残念な気がしますが、王室の位置づけの問題など様々な要素が絡み合って廃止が検討されているようです。

(キュー・ガーデン)
週末の日曜日、快晴の天気に誘われて(ただし、めちゃめちゃ寒かった)、キュー・ガーデンに出かけました。キュー・ガーデンは王立の植物園で、広大な敷地内に無数の植物標本が収集・展示されていて、250年以上の歴史があるそうです。先般、ユネスコの世界遺産にも登録された美しい植物園です。当家から車で15分程度のところにあります。
数時間ではとてもすべて見て回れないくらいの広さで、いくつかの温室にはサボテンなどの砂漠地帯や熱帯の植物が展示されており、簡単な水族館も併設されています。豊かな自然環境の中で、様々な鳥が歩き回ったり、泳いだり、飛び回ったりしています。多種多様な動植物を面白く見て回れるようなディスプレイの工夫もなされていて、大人も子供も飽きずに時間を過ごすことができました。
また、日本庭園など各種の庭園も造成されていて、美しい庭園として回っても十分に価値のある場所だと思います。園内にはちょっとした遊具や軽食のとれるレストラン、スーベニヤー・ショップなどもあり、まる1日かけて遊べる場所でした。入場料は、大人1人が£7.5です。

(優勝パレード)
月曜、W杯で優勝したラグビー、イングランド・チームの優勝パレードが行われました。マーブル・アーチを起点として、オックスフォード・ストリート、リージェント・ストリートからピカディリー・サーカスを経てトラファルガー広場に至るというルートで、まさにロンドンのど真ん中を通るパレードです。寒い日でしたが幸い好天に恵まれ、9時前くらいから街中は人だかりができはじめていたようです(パレードは12時スタート)。
私はというと、選手の投宿先であり、かつパレードの本当の起点(バスに選手たちが乗り込む場所)がオフィスすぐ近くのインチーコンチネンタル・ホテルだったので、11時半くらいからホテル前に見に行きました。ホテル前には大勢のファンやプレス関係者が陣取っており、大変な盛り上がりになっておりました。やがて大歓声とともに監督や選手たちがオープンバスに乗り込み、ゆっくりとマーブル・アーチを目指して出ていきました。
その後のパレードの模様は昼休みにTVで見ました。選手を乗せたバスは騎馬警官隊に先導・護衛されてロンドン市街を進み、彼らが到着する頃のパレード終点のトラファルガー広場は、まさに興奮のるつぼといった状態でした。ウィークデーというのにもの凄い人出(BBCによると75万人!)と熱気で、見ていた私はあっけにとられてしまいました。
トラファルガー広場では、選手たちを目の前にしてイングランド・ラグビーの応援歌「Swing Low Sweet Chariot」が繰り返し合唱されました。W杯の試合前に歌われたのはおなじみ「God Save the Queen」でしたが、イングランドのラグビー・ファンにとっての「六甲おろし」はこの曲です。そして当然、無数にうちふられている旗もユニオン・ジャックではなくて、イングランドの旗です。壮観でした。
イングランドの人々にとって文字通り悲願の優勝であり、決勝戦の名勝負とウィルキンソン人気がこの盛り上げに大いに貢献していたのでしょう。私のW杯興奮体験も、これで一段落です。
なお、同日夜のBBCニュースでは、パレードの模様を伝えつつ、「イングランド人にとっては、英国人としてのアイデンティティーよりもイングランド人としてのそれの方が大きい」という社会学者のコメントを挟んでいました。複雑な国ですね。


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