文
- 夏の日 夏の夕
2006年07月09日(日)
天気雨が降っていて 昼食を摂りに出かけたら 濡れた ぱら ばら 肩を叩く雨は あんまりにもあたたかいから 夢なのだと思っていた
田んぼの稲が伸びている 葉先が胸をつつくのが迷惑そうな案山子 あの緑が海ならば 遠浅のぬるい潮
時間が熱に浮かされて ゆるゆると弛緩していく夕べ 坂道を自転車で滑り落ちていく 止まりさえしなければ きっと夜など来ない すれ違いざま頬に触れる風に だれかの汗ばんだ掌を思い出したりして
未練がちに目の前を迷う指 つかまえて
窓ガラスの外を虫が這っている 夏の日
底が抜けて融けだして拡散して それでもたしかにここに在ると 薄闇のささやく午後八時
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