手繰る
     2006年06月27日(火)

それは
むかし制服の胸ポケットに入れたまま
どこかに仕舞い込んだもの
あるいは
去年手帳から破って捨てた
ページの裏側に書かれていた言葉
あるいは
一昨日わたしのあごの下を
かすめるように飛んだ 蝶

風か翅かが耳を撫でて
ぎくりと首を竦めてももう
あごの下より背中より
見えぬ届かぬ曖昧に
蝶はとけて 消えている

あるいはそれらは
きのう 君に返した
本のあいだに挟まっていた 栞

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