喫茶店にて
     2006年06月14日(水)

珈琲のかおりがする
向こうを秋が歩いている

しんとして
目を閉じて
聞いている
ぬるい空気の中でも
後悔のように冷たく濡れる
かおりの向こうに透けるものが
そろりと足を撫でていく

にがい
あまい
ひとり

居心地悪く身じろぎをして
手の中の珈琲が冷えていく
ああ
うん
そう
相槌ばかりの会話のように
かおりは無口になっていく

向こうを秋が歩いていた
窓の向こうに透けていた
夕暮れ
静か

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