迷宮ロジック
DiaryINDEX|past|will
最初から読む
ムジナ
2002年01月31日(木) |
ムジナ 第9章 亜流 |
第九章──亜流
「ふう」 熱いお湯が冷え切っていた体の節々を緩やかにほぐしていく。 ほんとに生き返ったみたいだ。
ホントはこんな余裕はないかと思ったんだけど「大丈夫だ。いつもどおりなら2時間くらいは余裕があるはずだ。とにかく風呂に入って暖まった方がいいぞ」とのシュンの一言で甘えさせてもらった。 制服はルリが乾燥機で乾かしてくれるという。 有り難いことだ。
しかしここってなんでこんなに揃ってるんだろう。
今入っているお風呂はルリが使っていた部屋にあるものだけど。 シャワーに大きめのバスタブに小さいけどサウナルームぽいのまで付いている。
隣の部屋には洗面所にトイレ。洗濯機、乾燥機がある。 その隣にはシンプルだけど台所が付いていて簡単な料理くらいは出来るようになっている。食料棚にはインスタントや缶詰類。冷蔵庫にはミネラルウォーターやジュースなど。それに冷凍庫にはアイスが一杯。 普通の部屋は多分6畳くらいが2つ。私がさっきまで寝てたダブルベッドに、本棚に、机。クローゼットには一通りの服は揃っている。
さっき聞いた話だと、シュンが使っている個室も同じだという。 しかも噴水を取り囲むようにぐるりと円形に個室が配置されている。 全部で個室は6つ。 しかも全室冷暖房完備らしい。 噴水動かすのにも動力がいるんだろうし。
いったい、この施設は何なんだろう。 やはり魔王がこれを用意したんだろうなあ。 でも、何のために……。
「あのねー、お姉ちゃん。服乾いたから置いておくね」 「あ。ルリちゃんありがとう」
ルリちゃんの声でやっと我に返った。
悩んでる場合じゃない。 これからが本番なんだから。
|