-殻-

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2007年07月15日(日) KC

会社の音楽班での活動で、久々にロック熱に目覚めてしまった。
世に言う「親父バンド」の典型みたいなもので、実力も様々、まあご愛敬と言ったところではあるが、
思い入れだけはみんな人一倍だからそれが楽しい。

60年代、70年代のロックは代表的なものはぼちぼち知っていたけど、
僕はCSN&Yにどっぷりはまってしまったせいで「それ以外」を掘り下げなかった。
何しろ彼らのCDやレコードを買い集めるのに、食費すら削っていたほどだったから。
ソロ作品にとどまらず、海賊版に至るまで目に付くものは全て買い漁った。
で、120枚余りの膨大なCSN&Y関連CDが手元にあるという訳だ。

もちろん今でも彼らの歌は好きで、再発盤が出ればまた買ってしまう(ボーナストラック狙い)。
でもその一方で、何か別の刺激が欲しいという思いもずっと持っていた。
そこに、音楽班でのロックバンド結成があった。

基本的には社内で、人前で演奏する訳だから、あまり趣味に走りすぎるのは良くない。
できるだけみんなが知ってる曲で、となるから当然メジャーな曲ばかりになる。

「Hotel California」(Eagles)
「Long Train Runnin'」(Doobie Bros.)
「All Right Now」(Free)
「Layla」(Derek&Dominos)
「Smoke on the Water」(Deep Purple)

というラインアップで、昨年末のコンサートで演奏した。

これが意外に受けがよく、また5月にやろうという話になる。
そうするとロックな親父達、ついつい調子に乗り始める。

「今度のテーマは”挑戦”で行こう」

そこでやりたい曲の候補をみんなが挙げ、投票するという形で選曲することになった。
曲の難度はとりあえず無視、やりたい曲に挑戦する、という趣旨だ。
そこで出揃った5曲が・・・

「White Room」(Cream)
「Woodstock」(CSN&Y)
「Black Magic Woman〜Gypsy Queen」(Santana)
「21st Century's Schizoid Man」(King Crimson)
「Burn」(Deep Purple)

・・・この選曲が、平均年齢45、ブランクだらけの親父達にとってどれだけ過酷なものかお解りいただけるだろうか?

「・・・ちょっとやり過ぎ?」
「いや、諦めるのは早い!ぎりぎりまで努力!」
「いやいや、そうは言ってもこれはいくら何でも・・・」
「いやいやいや、できるところまでやってから判断しよう!」

すったもんだありながらも、結局は全曲なんとか仕上げ、無事に5月のコンサートを終えた。
この難曲たちをこなしてしまったおかげで、音楽班内部での我々の評価は揺るぎないものになり、
一方で一般の聴衆はかなり引いてしまったようであった。

その二極化の大きな要因となったのは、紛れもなく「21st Century's Schizoid Man」(King Crimson)である。

実を言うと、King Crimsonをあまりちゃんと聴いたことはなかった。
名盤「クリムゾン・キングの宮殿」はその強烈なジャケット写真のせいでよく覚えているが、曲を聴いた覚えがない。
いや、聴いたのかも知れないが印象に残っていない。

ところがプレイヤーの視点から聴いてみると、最初は「何じゃこりゃ!弾けねえよこんなの!」から、
徐々に「お?」「おお?」「おおお!?」という感じでのめり込んでいく。
その異様なまでのテンションの高さ、あまりに緻密(理屈っぽいという人もいる)な音の構成、
あり得ない変拍子、進行、和音、それでいて曲として成立する不思議。
「音楽」の新たな可能性を感じてしまったのだ。

しかし、この「21st Century's Schizoid Man」は1969年に発表されている。
僕が生まれる前から、この曲はこの世に存在していたのだ!!
CSN&Yもそうだ。Woodstockに憧れる僕は、どうにも生まれる時代を間違えたような気がしているのだが、
またしても僕の心を捕らえたのは「1969年」だったのだ。

こうなると、僕のマニア癖が疼き始める。
当然のように、彼らの全ての曲が聴きたくなる。
彼らは今でも現役だから、アルバムも相当数出ていて、さすがに一度に全てという訳には行かないが、
ネットでいろいろなCD評を拾い読みし、彼らの音の変遷を辿れそうなものを選んで数枚買った。

中でも今僕が最も気に入っているのが、2003年に出た「Power to Believe」である。
このヘヴィさは堪らない!
僕は重低音が大好きなので、音圧を感じるこの音作りはツボにきた。
そして相変わらずの変拍子、謎の和音、それでいながら音楽として完成している。
素晴らしいアルバムだ。

思い返してみれば、僕は昔から「複雑な音作り」に憧れていたようだ。
変拍子、半音階、組曲のような構成、そんなイメージは頭にずっとあったのだが、
如何せん作曲の実力がなく、手を着けても完成を見ることはなかった。
そんな「表現したかった何か」を具現化してしまっているミュージシャンが、実はとっくにいたのだ。

欠けていたものが見つかったような気がして、最近の僕はご機嫌だ。
できることなら次回の音楽班コンサートではKing Crimson特集をやりたいものだが、
こりゃ絶対に誰もやろうと言ってくれないだろうな・・・

ちなみに僕の希望するラインアップはこんな感じ。

「Level Five」
「Happy with What You Have to be Happy with」
「Larcs' Tongues in Aspic: Part II」
「21st Century's Schizoid Man(Earthbound版)」

あれ、でもこの4曲演奏するだけで1時間くらいかかるんじゃないか?
絶対無理だな・・・(割り当ては1バンド25分)





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