-殻-
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僕の腕の中にすっぽり収まってしまうおまえ。
抱き締めると躰を仰け反らせて、シャツの肩口を握りしめるおまえ。 いつも散々泣いて、散々叫んで、ごろごろと床を転がって、 邪気の欠片もない笑顔できらきらと笑うおまえ。 小さな、生命のかたまり。 笑って欲しくて、僕を見て欲しくて、手に触れて欲しくて、 安らかすぎる寝顔を見ていると息をしているかどうか不安で、 どうしようもなく手がかかるのに、いつまでも一緒にいたくて。 おまえがいない、ほんの一週間は、ぽっかりと穴が開いたみたいな時間。 ずいぶん長い時間を僕は一人で過ごしてきたはずなのに、 いったい一人で何をすればいいのか、どうやって時間を潰していたのか、 何故か全く思い出せないんだ。 ただ、おまえの温かさに焦がれている。 こんな気持ちを、ずっとずっと前に感じたことがある。 そう、この気持ちは、恋に似ている。 INDEX| PAST| NEXT | NEWEST |