-殻-

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2003年11月08日(土) 空虚

中身のない言葉に接することが多い。
何の存在意義があるのだろう、その形だけの言葉に。

「頑張る」とか「立ち上がる」とか「夢を追いかける」とか、
そこには僕等が何をするべきかは告げられていない。
耳に心地のよい「響き」があるだけだ。
そして、耳慣れたこの手の言葉たちに、僕等は安心する。

そんな大局的な、抽象概念で人生を決められるほどには、
僕等の世代は世界というものに希望を持ってはいない。
閉じてしまった僕等の夢は、絶望を肯定しない限りは姿すら見せない。

空っぽの言葉は、僕等の隙間を埋められるのだろうか。
埋めたような気がするだけで、いずれは朽ちてゆかないだろうか。

僕が欲しいのは、自分の欠けたココロに擦り寄るような、
切ない叫びであったり、淋しさだったり、郷愁なのだ。
誰のものとも分からず、その存在すら不確かな夢などではない。
積み上げた堰を崩し、行き場のないまま沈黙している感情を、
流しつくしてしまいたいのだ。

中空の言葉の殻を詰め込んだアタマは、
本当の哀しさを隠してしまう。

工場街の煙突の隣に浮かぶ月を眺めて、
不意に湧き上がるどうしようもない衝動も、
僕の表情を変えることすらできない。


涙を、くれませんか。
抑え込んだ切なさが、僕を壊す前に。
閉じ込めた絶望が、僕を殺す前に。




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しんMAIL

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