-殻-

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2003年11月04日(火) 信頼性

昨晩、某TV局で大々的にやっていたIQテストに、僕も挑戦してみた。
彼女の部屋で、早めに夕食を済ませ、
ネットから解答用紙をダウンロードして、
ボールペン片手に準備万端。

自慢ではないが、僕はこの手の問題を解くのは概して得意な方だ。
それに、誰しも自分の才能を数値化して、他人と比べてみたい願望があるだろう。
僕も彼女も例に漏れず、食い入るように画面を見つめて問題に挑んだ。

スタジオでは、何とも言いようのないグループ分けをされた集団が競う。
カテゴライズの仕方というのは様々だが、程度が知れるというものだ。
まあ、娯楽なのだからそれでいいと言えばいい。
しかし、結果を見ると、「やっぱり学歴だ」と言っているように感じてしまう。

「これは自分の適性を知るために役立つ」などと司会者はのたまっていたが、
番組の最後では「都道府県別のIQ」「血液型別のIQ」「星座別のIQ」と、結局数字の大小しか比較の対象にならない。
もちろん「適性」云々はTVとしてのexcuseなのだろうから、それもいいと言えばそれでいい。
はっきり言って、視聴者も見たいのは数字だろう。

番組の趣旨や作りに不満を言っても始まらない。
僕自身、その数字を楽しみに番組を見ていたのだから、
それは需要と供給というヤツで、それでいいのだ。

ただ、こうしたデータを集計する際には常に「母集団」が問題になるのは、
社会学者でなくとも知っているだろう。
この番組における母集団はなんだったろうか。

リアルタイムで集計される全国からのデータは、ネットを通じてのものだ。
そこに集まっているのは、当然「ネットに接続できる環境にある人」からのデータにまず限定されている。
これは正しい母集団だろうか?
無論、答えは「否」である。

僕は、正しい母集団の抽出法について議論したいのではない。
要するに、そのデータには信頼性がない、と言いたいのだ。

ある共通項で括られるコミュニティが一斉に動けば、この程度の集計など簡単に操作できる。
某ファン投票事件や、最近話題になった視聴率操作もそう、
取り立てて特別なことのない商品が妙に売れたり、逆に見向きもされなくなったり。
母集団を正しく取らない現象に、僕等の目は欺かれる。
それも、いとも簡単に。

ある種の情報操作は、常にどこかで行われている。
誤差と呼ぶにはあまりにも大きい振れ幅で、世間は偏ってしまう。
何を信じるべきか。
情報とは一体なんだろう?



などと考える一方、僕と彼女はお互いがかなり良いIQを叩き出したことに満足して、
熱い風呂に入って気持ちよく眠った。



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しんMAIL

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