-殻-

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2003年06月06日(金) 遠ざかる日々

テレビを見ていた。
ニューヨークのおいしいお店、とかいう特集。
ソーホーの、とあるレストランが紹介されていた。

僕はその店に見覚えがある。

もう1年半近く前になるのか。
僕はそこに行ったことがある。


今はもう僕の隣にいない君。
僕がアメリカに留学していた時、
君はわざわざ僕に会いにきて、
二人でニューヨークに遊びに行った。

ブロードウェイでミュージカルを見て、
タイムズスクエアのトイザらスを見て、
ハートランドビールを飲んで、
ヘーゼルナッツの香りがするマンデリンを飲んで、
ソーホーのそのレストランに行った。


何を食べたっけ。
食後にコーヒーを飲んだことは覚えている。
そうだ、パスタを食べたね。
二人で違うパスタを頼んで、
少しずつ分けて食べたね。

そういえばサラダを頼んで、あまりの量の多さに、
君はびっくりしてたっけね。


今思えば、僕はあの時ずいぶん幸せだったような気がする。

そんな思い出が、慌しい日々に巻き込まれ、流されていく。
僕の視界からもう、消えようとしている。


取り返しのつかない気持ちのまま、
僕は久しぶりに君にメールを送ってみた。

「一緒に行ったレストランがテレビで紹介されてて、
ちょっと懐かしかったよ。」

君は少し時間を置いてから返事をくれた。

「ニューヨークっていう言葉をテレビや雑誌で見るたびに、
懐かしく思っています。もう一度行きたかったな。」


そうだね。

全ては過去。

もう、終わったことなんだ。

僕が、終わらせたことなんだ。



何故、こんなに淋しいのかな。



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