-殻-

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2003年03月12日(水) 復讐

僕は、図らずも復讐を完成させてしまった。

創製と破壊。
あのひとが背負うものを、僕は君に背負わせた。

それで、つまりは完成なのだ。
僕が背負っていた呪いは、君によって解かれた。
だから今なら、僕はあのひとにきちんと向き合えるのだ。

なのに、あのひとはもうここにいない。

そうやっていつもいつも、
僕は過去を追い駆け続けて行くのだろう。

君はこの復讐には気付いていない。
ただ、自分の価値を自分で知ったことで、
ひとり満足している。

お互いの存在価値は、大きく変わっている。
変わってしまったのだ。

僕が束縛を感じている。
君は依存を許されている。
共に過ごす時間は肯定され、
日常に流れていく。

僕等の知らないうちにどこかに流れていった、
小さな小さな出来事と同じように。

だけどもう少しだけ、
僕は知らないふりをしていよう。
もうすぐ来る春を君と迎え、
忘れ得ぬ傷に君が気付くまでは。





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