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遺書と屍
羽月
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2010年09月25日(土)



おわりのはじまり。
それから、はじまりのおわり。
どこにでもあって、どこにもない。

せかいは続く。
たとえこの息が止まっても。

それは正しく、希望なんだと思う。

*

わたしはよく自分を貶めるよ。
それは、気がつくと自分が他人を見下しているような気持ちになるからだ。
戒めなければ、わたしはただただ傲慢になっていく。
それを律するのもまた、わたしは傲慢なわたしを許せないからだ。
醜いと感じるからだ。
それが知られてしまったら、恐ろしいからだ。
誰かのためなんかじゃない。
口当たりのいい言葉の一つ一つでさえわたしはわたしのためのこと。
自分のことしか哀れまない、人間の屑だからだ。
動物ですら他を思いやるだろうに。
本当に、可笑しい。

よく、考える。
これは本当に、誰かのためかな?
誰かのためと言いながら、わたしのすべてはわたしのためだ。
利己的な自分に吐き気がするし、そんな自分に騙されないでほしいとも思う。
騙されていて欲しいなんてずっと思ってるし、わたしはいい子だって思っている。
どうしようもない屑だ。

わたしはわたしに、救いは求めない。
希望なんかいらないよ。
この先はないんだ、ずっと。
そう思わなければ生きてなんかいけない。
一瞬しかいらない。約束なんかいらない。一瞬を消費するしか、わたしには出来ない。
だってもう思い知ってる。
死ねないって、わかっているから、死なない。
わたしは、もう十分に思い知ってる。
死ぬのは怖い。死ぬのは、怖い。死ぬのは、どうしても怖い。
だからもうどこにも行けない。もともと、誰もどこかになんて行けない。ここにしかいないのに。自分からは逃げられないでしょ?
「わたし」は「わたし」と一緒にいるよ。それこそ、そう。死ぬまで。
いらないよ。希望なんて。
首を絞めたあの日、ずっと呪っていた。
緩んだ手のひらを、本気で憎んだ。
生きていたいなんて、思わせないで欲しかった。死にたくなるから。
生きていたいと思うなんて、思い知りたくなかった。死にたくなるから。
必死に一瞬だけを消費させてくれれば、そんなこと、気付かなくて良かったのに。


嘘ばっかり言うけど、これだけは本当。
希望なんかいらないよ。
救いなんかいらないし、わたしは誰も救えない。
それでも、これは絶望なんかじゃない。


*

他人が腐っていると思うなら、あなたはよっぽど高尚な人間なんだろうね。
わたしには、友人と対面で座って無言で携帯電話を叩き続ける女子高生のほうが、わたしよりも余程高尚だと思うよ。


*

生きる意味だとか、価値だとか、そんなものはない。
でも生きているから生きるんだ。
未練なんかないのは、人生がそんなもんだからだと思う。
軽い話だし、軽い思いだ。
成功は失敗に潰される。
優しい感情は怒りに押しつぶされるだろう。
他人の成功は喜び自分の不幸は大げさに悲しむ。
なんんて浅ましいんだろうと、わたしにだってわかる。
ただ、生きているだけの癖に。
目的なんかないし、生きている意味なんてないんだ。

*

さてここは一つ、酷い話でもさせてもらおうかと思わないでもない。

弱い人って、ほんとお得だよね。
弱いままでいれば、周囲が守ってくれますよね。
善意だって、悪意になりますよね。
言い方一つだもの。
誰かを助けたつもりが、わたしを貫く剣になっていた。
死んでしまえと呪うよ。
わたしを。

何故もっと弱くいられなかったのか。
弱いのならば、何故弱いのだと言えなかったのか。
爪跡はただ赤くなるばかりだ。
傷の一つでも負えば、誰かに、なんて。


酷い空想だ。