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、
彼
女
の
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書
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遺書と屍
羽月
MAIL
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2010年04月29日(木) ■ |
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メールを返さないわたしのエゴなりに、真剣にあなたに返事をしようと思う。 不特定多数に発信する文字だから、誰がどう取ってもらっても自由だけれど。 知ってるから、いいんだ。 ことばは、ただしくつたわらない。 だから、わたしはリアルで顔を知っている相手とするメールが嫌いだ。電話も嫌いだ。 (だからといってあなたのメールやあなたが嫌いだと言っている訳ではなく、) 言葉が、正しく伝わらない気がするから。
顔を見れば言葉がちゃんと伝わるかなんて、やっぱりそれも思い込みにしか過ぎないのだけれど。
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あなたを救えないって、昔言ったと思う。 だからわたしの言葉は、きっとあなたを切り裂いていくばかりだと思う。 聞かなくていいし、読まなくていい。唾棄したっていい。このページを閉じてしまえば、いつだって全部終わりだ。 あなたは選ぶことが出来る。いつだってそうだった。
もう一度言うよ。わたしは、きっと、あなたを切り裂いていくばかりだと思う。 結局わたしを殺すのがいつだって、いつまでも、これからもわたしだったように、結局、あなたを殺すのは、あなたを守るのは、あなたしかいない。 目を閉じるのも、耳を塞ぐのも、決めるのはあなただ。
わたしに解を求めるなら、わたしを揺らすなら、誰かを揺らすなら。 やっぱり、いつだって代価がいる。 高みの見物なんて、やっぱり出来ないんだから。 それでも、選ぶことは出来るよ。酷いことを言うよ。さあ、選んで。
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一つだけ、聞いてもいい? あなたを、言葉を、聴いて欲しい相手は、本当にわたしですか? わたしは、あなたが欲しがっているのは希望なんかじゃなくて、繋がりなんだと思うよ。 手を繋ぐ相手は、本当にわたしですか? 言葉を我が身のように感じるのは、痛むのは、あなたに傷があるからだと言ったよね。あなたの心が血を流しているから、あなたの心に傷があるから、あなたの心が痛むんだ。だから、熱を感じるんだ。 そう、わたしの言葉は、誰かに対する鏡でしかない。 あなたがあなたのことを知ってほしいのは、本当はわたしではなく、他の誰かなんだろうと思う。 わたしたちの体温は所詮36度5分程度、あなたを焼き尽くすには温すぎる。
月並みなことでも言おうか。 愛し方を知りたいのなら、まずは自分を愛さなくちゃいけない。 自分を愛さない人間を、他人は愛さない。 かなしいけれど幸いなことに、どれだけ酷く扱っても、わたしはわたしから離れていくことはない。 そう、たとえ手首を切っても、首を吊っても、だ。 死ねなかったよ。 怖かったもの。 明け方の空だった。 寒々しく冴え渡る、朝だった。 どうしようもなく暗い、夜だった。 死ねなかったことを酷く呪って、泣き喚いた夜だった。 リボンを握った右手は、死ぬのが怖くて手を離したんだ。 怖かった。 きっと後もう少し、強く握っていられたのならわたしは死んでいただろう。 怖くて、憎らしくて、生きていられたことに安堵した。
世界は、残酷で、無慈悲で、穏やかで、緩やかで、どこまでもわたしたちを突き放す。 どれだけの絶望が覆っても、どれだけの悲しみが襲っても、誰にも平等に朝が来る程度には。 誰も誰かにはなれないし、何かにもなれない。それを知らせるのは、とても残酷だけれど。
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温度なんかないって言ったけど、本当はそれを得るのはとても簡単なんだって知ってた? 画面越しではない、誰かと声を交わすこと。手を、繋ぐこと。 ほんとうは、それが一番手っ取り早い。 それが怖いなら、あまりお勧めしたい方法じゃないけど、あなたが言うように、まずは壊してみたらいい。あなた自身を、あなた自身の言葉で。 わたしが首を吊ったのと同じように。 わかるよ。 壊れないことが、壊せないことに対する絶望が、あなたが愛したい誰かが、そんなに弱くないことも。 掻き毟るような痛みと共に、きっと、産声が聞こえる。
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