こ
れ
は
彼
女
の
墓
標
、
彼
女
の
遺
書
。
遺書と屍
羽月
MAIL
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2009年01月13日(火) ■ |
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ずっと前に、会わない約束をした人がいます。 わたしはとても臆病で、弱虫で、怖がりだったから、徹底的に逃げました。 その頃のわたしはまだとても幼く、かと言って今がそれほど大人であるわけもありませんが、無知でした。 傷つけるしか、助かる方法を知らなかった。
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言葉は正しく伝わらない。熱源がなければ言葉なんてただの文字の羅列にしかならない。 温度があってはじめて、ことばはことばになる。 でも、それでもだめ。まだたりない。 人の心を覗けるわけではないから、言葉はやっぱり正しく伝わらない。 わたしたちは言葉が通じたような気持ちになっているだけ。 わたしは言葉をきちんと伝えたような気になって、相手は言葉をきちんと受け取ってもらえた気になる。 だから、いつまでたってもかみあわない。
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助かる方法をずっと探している。乞えばいいのだろうか。縋ればいいのだろうか。哀れなほど、許してくださいと嘆けばいいのだろうか。 でもだめだ。それじゃ、ただの自己満足で、他人の迷惑。 泣いても、怒っても、誰か助けてよって叫んでも。たぶん、わたしはたすからない。 憎んでも恨んでも、ただしいせかいは何一つ変わってはくれなかった。 だから、愛そうと思う。 朝の光も、冷たい風も、夕焼けの色も、月明かりも、一呼吸ですらも、何もかも、愛そうと思う。 できるところから、たったひとつずつからでいい、ゆっくりと。 なにかひとつから、ゆっくりと、愛そうと思う。
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みていないならもう意味なんかないけど、ひとことだけ。 ばいばい、またね。
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