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結局昨日の夜は、せっかく持参した焼酎も日本酒も飲めず早めに就寝。
そのおかげで今朝は早起きができた。 いや、自主的に起きたのではなく正確にいえば起こされたのである。 誰に起こされたのかというと、外の鳥たちに。
「キャー!!」
というかもめの鳴き声で目が覚めるが、まだ外は薄暗いようである。 でも部屋からみる朝焼けがとてもきれいだと聞いていたので、この寝ぼすけの私はがんばって布団から出てカーテンを開けてみた。
するとそこには、
今日という素晴らしい1日が約束されたような美しい朝焼けが…。
旦那も起こして2人でしばらく眺めていた。 (まだこの時私は、これから身に降りかかる不幸を知らずにいた。)
朝食を終えると私は風呂に入ることにした。
昨日は夕方に入ったのだが、ここの露天風呂は最高だった。 目の前に広がる海を眺めながら、熱くもなくぬるくもないちょうど良い湯加減の広々とした露天風呂にとっぷりとつかるのだ。
そんなステキな露天風呂、是非チェックアウトする前にもう一度入りたいと思ったのである。
今回この宿はびゅープラザ経由で予約していたので、ぴゅーの特典が色々とあったのだが、そのひとつにチェックアウトが11時というものがあった。(通常は10時) これはありがたい。 のんびりできる♪
旦那はもう一眠りするということである。 では私一人でのんびりしてくるよぉぉと部屋を出た。
すでにチェックアウトした人が多く、ホテル内はシーンと静まり返っていた。 昨日の夜、はだけた浴衣を着て宴会を楽しんでいたおじさん達ももうすでにホテルを発ったようである。
風呂場にも人はいなかった。 私一人だけ。 わお!あの露天風呂は私だけのものね!! ウキウキしながら服を脱ぎタオル1枚ぶら下げて露天風呂へ向かう。
露天風呂へ行くには自動ドアをくぐらなければいけない。 縦長の四角いボタンを押すと自動ドアは開くようになっている。
ドアをくぐるとすぐ目の前は海!! そして出てすぐ右に露天風呂!!
うひゃぁ〜♪と言いながら露天風呂につかる。 誰もいない静かな世界をしばらく楽しんだ。 時折かもめが鳴く声と、 漁船の音が聞こえるだけ。 天気もいいし、空は真っ青。 それに負けないくらい海も真っ青。
あぁ〜、 生きててよかったぁぁ…。
と
思っていたのもここまでであった…。
さて、そろそろのぼせてしまうなぁと思いあがることにした。
と、と、ところが!?
なんと!自動ドアが開かないのである!!!
入るときは縦長のボタンを押せばいいのだが、出るときは上に設置してあるセンサーに反応してドアが開閉されているようだった。
誰もいないが一応タオルで前を隠しながらセンサーのところまで手を伸ばし手をヒラヒラさせてみた。
が、
無反応であった。
今度はセンサーの下に立ってみたり離れてみたりしたがこれもダメであった。
恐らくみなさんがやるであろうすべてのことにチャレンジしたがすべてダメであった。ドアを力ずくで開けようとしたが、まったく動かない。
だんだん焦ってきた。
最初の数分は「あれれ?」なんて独り言を言うぐらい余裕があったが、さすがに10分ほど時間が経過するうちに本格的に焦り始めた。
露天風呂の奥の方に階段があるのを見つける。 階段の前にはカタカナで「ストップ」と書かれた縦看板があったが、多分危険なことはないだろうと思い、思いきってその階段を昇ってみることに。
しかし、しばらくの間この階段を利用した人はいないようで、頭上にはくもの巣が、そして足元にはホコリや枯草が。 そんな階段を真っ裸で昇ることになるとは、3じゅううん年間思ってもみなかった。
階段を昇りつめると、そこにはベニヤ板で囲まれた狭い空間があった。 それと電話がひとつあった。電話には「非常用」というステッカーが貼られている。使おうかと思ったがそこまで行く勇気がなかった。 なぜならその空間は、今にもリングの「貞子」が出てきそうなそんな雰囲気がバリバリだったからである。(おいおい、大人なのに…。)
なんだかゾクゾクしてきたので階段を降りることに。
露天風呂に戻るが、ここで私ができることといったら やはりドアの前でアレコレやってみることぐらいであった。
露天風呂の中をザブザブと歩き再びドアの前に立ってみた。 もう一度センサーの前でヒラヒラしたり力ずくでドアを開けようとしたり、さっきと同じことを何度も繰り返す。
ドアの前で素っ裸で格闘する私の背後には 美し過ぎる三陸海岸と仕事から帰ってくる漁船が。 漁船の人々に手旗信号で「SOS」を出してみようかとも真剣に考えたりした。
日差しがヒリヒリと私の美しい背中を焦がし始めた。 このままここにいたら、のぼせるか焦げるかのどちらかだ。 だからと言って、 もう二度と貞子がいる階段は昇りたくなかった。 自動ドアをコンコンと叩きつづけてもみた。 しかしもうチェックアウトの10時を過ぎたようで、誰も風呂にやってくる人はいなかった。
…と、そのときであった。
ドアの左側に「オープン」「クローズ」と書かれた箱があることに気づく。
ちょうど今は「クローズ」の方にダイヤルがセットされているのだが、これを「オープン」に切り替えたら何が起こるのだろうと考えた。 「オープン」に切り替えた途端、湯量がぐわぁぁあ〜っと増量して海に流れ出てしまったら、私も一緒に押し流されてしまうかも…。危険だ!!
いや、もしかしたら願い通りドアがオープンするのかも…。
色々考えてみたが、「オープン」してみることにした。
カチっ
すると、
なんてことはなかった。 箱がオープンしただけであった。
しかし!
箱の中には電話が!?
よし、フロントに繋がるかもしれないし、 とりあえず受話器を持ってみよう。
部屋のホテル案内でみたフロントの番号を押してみる。 しかし「ツーツーツー」という音がするだけであった。
でたらめに色々な数字を押してみる。 もしやと思い0発信して旦那のピッチに電話したりする。 思いつく番号を押してみたがすべて「ツーツーツー…」であった。
なんなんだよ!!いったい!!
と、怒りがこみ上げてきた。
と、そのときであった!!
箱の内側に、 赤いボールペンでいたずら書きのようにかかれた4桁の数字を発見!!
殴り書きされているので4桁目の数字がちょっと読み取りにくいが、この4桁にチャンスがあるかも!!
まずはその通りの数字を入れてみた。 しかし無情にも「ツーツーツー」であった。
やっぱりこの数字には意味はないのか…。 素っ裸でうなだれる私であった。
いや!まてよ!! 末尾を変えてみようじゃないか! あきらめるのはまだ早いぞ!!
私は末尾を「0」にしてみた。
す、すると…!?
今までとは違う反応であった!
「ルルルルル…、ルルルルル…」
おっ! つながっとる!つながっとる!
フロントに繋がるのだろうか。ドキドキする。
すると
「はい、モスモス、風呂場です。」
と、じいちゃんの声が… た、助かったぁ〜…。
「あ、あのぉぉ…」
今の自分の状況を説明する。 しかしじいちゃん、なぜこの電話からお客の声がするのかよくわからなくなったようで
「え?なぬ?あんだおじゃくさん?」(え?なに?あなたお客さん?)
なんとか状況を把握してもらい、 じいちゃんは
「では、今そっちに向かうから。」
と言った。
きっと女性スタッフがくるだろうと思っていた。 そう願っていた。
1、2分経ったであろうか。 自動ドアの向こうに人の気配が!
やったぁ! これで私は もとの生活に 日常に帰れるのね!!
しかし、湯煙の向こうからやってきたのは電話のじいちゃんであった。 ガーン。 しかし少しずつこちらに近づいてくるじいちゃんを見てると、ホッとするのであった。こちらが裸であろうがあまり恥ずかしくなかった。 じいちゃんも女性の裸体は見なれているような雰囲気でひょうひょうとしていた。
じいちゃんは私が露天風呂にやってきたときと同じように、室内側に設置されている自動ドアのボタンを押しいとも簡単にドアを開けた。 そして
「このドア、壊れてないよぉ。」
とじいちゃんは言った。
「えー!壊れてますよぉぉ!入れるけど出られないんですぅ!」
と私は言った。
「んで、あんだ、そっちに待機してて。」
と、壊れていない証明をしようと じいちゃんは露天風呂の方に出た。 私は室内の方に立った。
やっと救出された喜びや感動を味わう間もなく 私はひょうひょうとしたじいちゃんと実験を行うのであった。
一度ドアが閉まった状態にしてじいちゃんは扉の前に立ってみた。 じいちゃんはセンサーの下をきっちり狙って立ったようだ…
が、
いっこうに扉が開く気配はない。 じいちゃんは、今度は力ずくで開けようとしていた。 私が試したことをすべてやっていたようだったがやはり扉は開かないようだ。
あきらめたじいちゃんはジェスチャーで
「ボタンを押せ」
と室内側に立っている私に指示してきた。
私は指示通りボタンを押し扉を開けた。
この間私は素っ裸でいたのだが(一応タオルで隠していたが) そんなことはどうでもよくなっていた。
「ちょっと、もう一回やってみっから、あんだそこにいてな。」
と、じいちゃん。
「はい、分かりました。」
と了解する私。
やはり2度目の実験も失敗であった。 やはりじいちゃんからボタンを押すよう指示が出る。
結局センサーが止まっていたか壊れていたか、どちらかのようだった。
それにしても見ず知らずの男性と2人っきりで素っ裸で過ごすとは…。いやはや。
ホテルをチェックアウトすると 北の方に車を走らせた。
市場の新鮮な魚介類を買うために。
まずはお昼である。
市場の近くの食堂で1人前1,500円の刺身定食を食べる。 なんとこの刺身定食、カニもついている。お得だ。
食事を済ませ、 何を買っていくかチェックしようと売り場へ行ってみる。 やはり今はサンマが旬だろうということで、超特大サンマを買うことにした。 それとぷりぷりと太ったホタテ。
しかしこの後ドライブにも行きたかったので、下見だけして買わずにドライブに出発した。 サンマとホタテは帰りに買うことにしよう。
海がきれいに眺められる場所を探ししばらく車を走らせた。 ちょうどいいところがあったのでそこで少し休憩することに。
車をおり、海をみながらの散歩を楽しんだ。
そしたら ←こんな感じでサルがいたのでびっくりする。 もちろん見間違いであった。
しかし、
露天風呂でのハプニングもあり、 刺身天国も味わい、 雑技ショーでは息を呑み、 拡大役員の集いに戸惑い、 おいしいお土産をゲットし、 木の一部分をサルと見間違え、
なんとも楽しい旅であった。 またこのホテルに遊びにこよう。 このホテル、志津川の「ホテル★洋」という。 気仙沼の「ホテル★洋」はついこないだ食中毒出しちゃったけど。 日本人が好きな娯楽が凝縮されていて、ロケーションもいい。 それと、夕食が終わり部屋に戻ると、 冷たいお水の入ったポットが用意されていた。 氷入りというにくいサービスであった。
人それぞれ好みはあるだろうが、気取らずワイワイやるには楽しいホテルであった。
それにしても今日の日記長いなぁ。 (ほとんど露天風呂の話しだったね。)
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