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「暗幕」日記

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2002年03月05日(火) 本:『からくりからくさ』

梨木香歩『からくりからくさ』新潮文庫,2002 bk1

亡き祖母が残した古い家に、蓉子は人形の「りかさん」と、同年代の若い女友達3人と住む。その家の全員は染物と織物、伝統的な女性の仕事に深く関わっている。あとから思えば集まるべくして集まったのだ。同じものを食べ、よく話し合う四人の前に、一つの謎が生まれ、並行して事件も二つ起こる。
「りかさん」について語る冒頭の文章はまるで、成熟した大人の女性について語っているようだ。私は「人形らしくない」と言いかけて、「人形がそういうものであってなぜいけないのか」「人形はもしかしたら本来そういうものかもしれない」という思いに止められた。ままごとにも似た四人の暮らしを読み進む読者は、知らない間に魔法がかけられてしまっているのだ。
すべてを知っているのは「りかさん」だけで、その「りかさん」は蓉子の祖母を送りにいっていて今は蓉子に話しかけてこない。草木染めは同じ色は二度と出せないし、やってみなければどんな色になるかわからない。ものごとは、なるべきところへなりゆくのだ。その流れの前には、個々人の望み、恐れ、不安などは些細なものかもしれない。
発言権もなく、波立つ感情を表に出すこともできず、ただ機を織り続けた昔の女性たち。対して現代の静かな女所帯に投げ込まれた波瀾は、やがて家の空気に同化される。男権主義者はもはや彼女たちから奪うことはできない。非婚で出産するということももはや彼女たちを損なう事実ではない。
そしてすべてがあるべきところにまとまったとき、「りかさん」も表現の一つになった。その場所、その一瞬しかありえない芸術作品に変わった。

昔の蓉子と「りかさん」については、『りかさん』偕成社,1999 bk1で読めるようです。近いうちに読むことにします。


夢記録:出張準備

【夢の内容】
出張の荷造りをしている。前日になって、宿の手配をした記憶がないことに気づいた。仕事の進み具合によって現地に滞在する日数が1〜2日のびる可能性はあるが。それにしてもついた当日泊まるところは確保しておかなければ。



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