女の世紀を旅する
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2006年12月13日(水) 必修科目履修漏れ

《 必修科目履修漏れ 》

必修の世界史や家庭科・技術などの履修漏れが,なぜ今頃になって発覚したのか。文部科学省はこの事実をとっくに知っていたはずである。由々しき事態だ。大学受験のためとはいえ,必修科目を無視してきたのだから,日本の教育現場の事態は深刻だ。

663校が今年度,履修漏れがあったというから驚く。生徒の受験に配慮したカリキュラムを組んでいるためだが,世界の歴史・地理・文化の知識をもたない学生が大学に入ることなるのだから,大学生の教養の知識が浅くなるのは当たり前で,国際化の時代に外国の歴史・文化・哲学・宗教・美術などの知識をもたない大学生を大量に輩出するのだから,大学の教育現場にいる先生たちも途方にくれるだろう。経済・政治・法律・思想・哲学・文芸・地理などの知識は世界史のコンテンツに含まれている。大学の人文系の各学部では世界史の知識が前提となっており,これを履修しないで大学に入るとなると,ほとんど大学の講義についていけないだろう。なんのために世界史を必修にしたのか,よく考えていただきたいものだ。


●必修漏れ、24年前から 2003年度の総合学習新設で拍車
2006年12月13日17時33分

 高校の必修科目の履修漏れは、遅くとも82年度から続いていたことが13日、文部科学省の調査でわかった。漏れを認めた高校のうち4割以上が、情報や「総合的な学習の時間」(総合学習)が新設された03年度に、一斉に「偽装」を始めていたという。

 調査対象は、「今年度、履修漏れがあった」と申告した46都道府県(熊本県を除く)の公立と私立の計663校。最も古いのは、82年度からの私立。世界史が必修となった94年度以前には計11校あり、いずれも私立だった。

 94年度以降は公立でも始まり、公私合わせて毎年度、10〜46校の割合で増えた。特に、指導要領の改訂で情報や総合学習が新設された03年度には、公立170校と私立123校が始めたと回答している。

 履修したように見せかけた「偽装」を教科別に分類すると、地理歴史が公私合わせて460校とトップ。以下、情報247校、公民106校、理科76校、家庭74校と続く。



●「総合学習」の時間に受験教科 約30の都立高
2006年12月12日15時31分

 東京都立の約30の高校で、「総合的な学習の時間」を受験対策に充てたり、「理科総合」の授業で教科書を使わなかったりしていたことが都教育委員会の調べで分かった。都教委は「履修漏れには当たらないが、好ましいことではない」として、近く文書で改善指導をする。

 都教委によると、約20校で、総合学習の時間で、英語や数学といった受験教科の問題を解いたり、英語のリスニングを練習したりしていた。また、約10校では、物理と化学、または生物と地学を教える必要がある理科総合で、1科目だけを教えたり教科書を使わずに授業をしたりしていた。

 都教委は、「学習指導要領が教科の内容を一部省略したり、発展的な内容を教えたりすることを認めていることから、こうした拡大解釈につながったようだ」と指摘。しかし「まったく授業をしていないわけではない」として、履修漏れには該当しないと判断した。

    ◇

 伊吹文部科学相は12日の閣議後会見で、事実関係を調べるよう指示したことを明らかにした。そのうえで「グレーゾーンみたいなところで、にわかに結論は出しにくい。総合学習の枠の中で工夫してやっていたのであれば、違法ではない」と述べた。


●指導要領、私学しばらぬ 東京私立中学高等学校協会長に聞く
2006年12月04日10時40分

 公立高校に端を発した必修科目の履修漏れ問題は、私立高校も巻き込んで全国に広がった。公立と比べて自主性が尊重される私立は、文部科学省が定める学習指導要領にどこまで拘束されるのか。私立高校が全高校の半数以上を占める東京の私立中学高等学校協会長で、八雲学園中学高等学校(目黒区)校長の近藤彰郎氏に聞いた。 (聞き手・根本理香)

★授業の自主性、法に根拠

 ――学習指導要領は厳格に守るべきですか。

 私立は公立とは違う。長い歴史の中で自分たちの教育観を持ち、建学の精神をもって教育している。私立が学習指導要領通りにやらなければいけないなら、存在意義はない。

 学校教育法14条は、学校の授業や設備などで法令違反があった場合、都道府県教育委員会もしくは知事が変更を命じることができると定めている。ただ、私立については私立学校法5条で適用除外となっている。授業の根幹がカリキュラム。私立の自主性・独自性がここで法的にも守られている。

 ――高校の授業が受験対策中心になっているという批判があります。特に私立がそうだと。

 受験を否定しても意味がない。多くの子どもたちは、一つの短期的・中期的な目標があるから勉強する。試験のための勉強ではないと言ったところで、それは理想論。今の受験制度のもとで、理想論を押しつけるのは受験生に対して失礼だ。受験勉強を否定して、その結果大学に受からなかったら、だれが責任を負うのか。

 受験勉強したい人にはさせればいい。多くの私学は受験勉強だけを中心にすえているわけではない。建学の精神を大切にしながら、子どもたちの希望をかなえるために、発達段階にあわせて教育している。

 ――私立の独自性と高校生として学ぶべき標準とのバランスをどうとっていきますか。

 日本中の私立学校で、学習指導要領をまったく無視している学校は本当に少ないと思う。ほとんどの学校は指導要領の規定を自分の学校に当てはめてみて、時代の変化や子どもの発達段階にどうしても当てはまらない場合に、現場でアレンジしている。現場に柔軟性を幅広く持たせることが子どもたちを伸ばすことになる。

 ――公立はどうでしょう。私立とは事情が異なるんでしょうか。

 公立の経営者は教育委員会だ。教育委員会が、指導要領を守るべきだとの立場から学校現場での履修漏れを知らなかったというなら、その学校が教委の業務命令に違反したことになる。私立の場合は理事会が経営者だが、カリキュラムについて知らないなんてことはありえない。

 ――未履修が発覚した私立への補助金の見直しに言及する知事もいます。

 私学振興助成法の目的をよく読んでほしい。私立学校の教育条件の維持向上、父母の経済的負担軽減、学校経営の健全性の三つが柱だ。理由のいかんを問わず、補助金を減らすことは教育環境を悪くすることになる。その結果、困るのは子どもたちだ。

 補助金カットには何があっても反対だ。今回の問題で子どもたちに不安を与えた上に、さらに負担をかけようというのか。私立が補助金をカットされるなら、公立の教育費も減らすのか。ばかげた考えをするべきではない。

 ――今回の未履修問題は、70コマを上限とする補習で収束させることになりました。

 補習が必要ならするべきだが、センター試験も間近なこの時期に行うのは、一生懸命受験勉強をしている子どもたちに過酷な負担を与えると言わざるを得ない。06年度は来年の3月31日まである。補習は受験が終わってからでも遅くはない。卒業を延期させてもいい。子どもたちのことを1番に考えるのが教育行政ではないのか。

★公立の2倍強、チェック及ばず

 文科省の最新の集計によると、全国の5408高校のうち、必修科目の履修漏れがあったのは663校(12.3%)。公立校が4045校中371校(9.2%)なのに対し、私立校は1348校中292校(21.7%)で、履修漏れの割合は私立が公立の2倍強だ。

 公立も私立も、学習指導要領に基づいて必修科目が決められている。ただ、公立は教育委員会に設置管理の権限があるのに対し、私立は都道府県が「監督」するだけで、チェックが及びにくいのが実情だ。私立では「独自性と自主性」も尊重され、一部の自治体は当初、私立への履修漏れ調査に慎重だった。

 私立は生徒の集まり具合が経営を左右するだけに、募集に影響する大学受験での実績作りを公立より重視しがちだ。学校5日制が導入されても6日制を続けるなど、公立との違いを出そうと腐心する学校も多い。 履修漏れが70コマを超える生徒の数は、公立が約1万300人で、私立はそれを上回る1万5500人に達している。



●履修漏れ、私立校の22%に 計665校 文科省調べ
2006年11月22日18時20分

 高校の必修科目の履修漏れ問題で、文部科学省は公立と私立の計665校で漏れが見つかった、と22日発表した。私立の履修漏れの割合は全体の21.6%で、9.1%だった公立の倍以上だった。文科省教育課程課は「一部の教育委員会ではまだ調査を継続しているようで、確定値ではない」としている。

 同課によると、今回の数字は20日現在の集計で、最初に発表した1日時点より125増え、すべての国公私立5435校(中等教育学校の後期課程を含む)の12.2%にあたる。うち公立は371校、私立は294校だった。

 生徒数では、いまの3年生約116万人の9.0%にあたる10万4333人。

 未履修が4単位140コマを超える生徒は公立の1.6%に対し、私立は11.4%と7倍以上多かった。

●大学入試見直し、急な制度改革に文科相否定的
2006年11月13日22時42分

 高校必修科目の履修漏れ問題から生じた大学入試の見直しに関連し、伊吹文部科学相は13日、高校教育が入試で総括される風潮は「変えないといけない」としたものの、一足飛びの制度変更については否定的な見解を示した。日本記者クラブでの会見で述べた。

 伊吹氏は、大学入試センター試験などで高校生の習熟度を卒業前にチェックする意向を示していたが、この日は「あまり制度をいじらず、権限のある校長にやってもらうというのが一番いい」と説明。国会で見直しに言及したのは、「校長が指導力を発揮しないと、そういうことになるという警鐘と受けとめてほしい」と述べた。具体策としては世界史と日本史などの2科目受験が「現実的ではないか」と言うにとどまった。

●私学協会「補習すればいい」 本郷高、履修漏れ伏せる
2006年11月08日17時24分

 東京都が7日に履修漏れがあったと公表した私立本郷高(豊島区)が、最初に富山県立高岡南高校で履修漏れが発覚した10月末の段階で、世界史を必修科目にしていないことを自覚していたことが分かった。学校側は「文科省の緊急調査の際、東京私立中学高等学校協会に相談したが、『卒業までに対応すれば履修漏れにならない』と言われた」と説明している。

 本郷高の高橋雄校長によると、同校では「世界史B」を2年生か3年生の時の選択科目にしており、3年生66人が選択していなかった。都は先月末、私学協会を通じて都内の全私立高に調査を指示。高橋校長はこうした事実を協会側に伝えたが、「新科目や補習という形で卒業までに補えば未履修と考えなくていいのではないか」との説明を受けたため、調査には「適切に履修させている」と回答したという。

 同校は今月4日の保護者会で、70時間の補習を実施する考えを保護者に伝えていた。しかし、都が本郷高の履修漏れを把握したのは、教育課程表を再調査した6日になってからだった。


カルメンチャキ |MAIL

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