女の世紀を旅する
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2006年12月03日(日) |
近未来の日本の危機:少子化と高齢化 |
近未来の日本の危機:少子化と高齢化
●<少子化社会白書>日本「超少子化国」と定義
政府は12月1日午前の閣議で06年版「少子化社会白書」を決定した。05年に人口が戦後初めて減少に転じ、合計特殊出生率が1.25に落ち込んだ日本を「超少子化国」と定義。少子化対策を国の最重要政策課題と位置づけ、社会全体の意識改革の必要性も強調している。 白書は少子化の直接原因として晩婚化・晩産化に加え、「未婚化の進行」を挙げた。具体的なデータとして、70年代は男女とも30代の9割が結婚していたのに対し、05年は30代前半の未婚率が男性47.1%、女性32%(国勢調査)に高まったことを紹介している。 人口学は合計特殊出生率が1.3未満の国を「超少子化国」と定義している。日本の05年の出生数は過去最低の106万2530人(前年比4万8191人減)で、合計特殊出生率も1.25(同0.04ポイント減)と過去最低を記録、昨年に引き続きこの表現を用いた。合計特殊出生率が1.3を割り込んだのは3年連続。 少子化対策としては、児童手当の乳幼児加算(0〜2歳児が対象)創設など「子育て支援策」と「働き方の改革」を中心に40項目の施策を列挙した。人口減少社会に適応した社会・経済システムの構築や国、自治体、企業、地域など社会全体で対策に取り組む重要性を唱えている。【渡辺創】 (毎日新聞) - 12月1日14時53分更新
●少子高齢大国日本/子育て支援きめ細かに 東奥日報
政府の人口統計にはいつも驚かされる。昨秋実施した国勢調査について総務省は六月末、同調査1%抽出速報を公表した。 国勢調査の調査票から全市町村ごとに百分の一、計約五十万世帯を抽出、年齢別人口など十六項目を集計した。 同速報によると、日本の総人口に占める六十五歳以上の高齢者人口割合(高齢化率)が21%に上昇した。 一九八〇年に先進国で最低レベルの9.1%。それが右肩上がりに急伸、二十数年で世界一の高齢大国に駆け上がった。 少子化も同時進行だ。同速報によると日本の十五歳未満人口の割合が13.6%。子どもの比率が世界最低となった。 この数値が示しているのは、日本が高齢化、少子化とも一番進んだ国になったことだ。 特に少子化は深刻だ。事態を重視し国は二〇〇三年、少子化対策基本法を制定、〇四年に少子化社会対策大綱を策定した。 基本法に「次代の社会を担う子どもを安心して生み、育てる環境を」とうたうが、言うのはたやすく行うのは難しい。 国、地方自治体、地域社会、民間企業などが総力を挙げた総合対策を長期間続けないと、少子化に歯止めがかからないだろう。子育て支援一つとっても、よりきめ細かな施策が必要だ。 一人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率がある。この比率が2.08前後を下回ると、その国の総人口は減っていく。 日本では同出生率が減り続け〇五年に1.25。生まれる国民より亡くなる国民が多い「人口減少社会」に突入した。 現状は子どもを安心して産み育てる環境からほど遠い。国立社会保障・人口問題研究所が昨年六月に実施した「結婚と出産に関する全国調査」がある。 妻の年齢が五十歳未満の夫婦六千八百余組が回答した。夫婦が欲しい理想の子どもの数と、産む予定の数が三年前の前回調査より減った。 なぜ理想の数を産めないのか。その理由は切実だ。「子育てや教育にお金が掛かり過ぎる」が65.9%と最多。「高年齢で産むのは嫌」が38.0%。 さらに「育児の負担に耐えられない」「仕事に差し支える」「健康上の理由」「欲しいができない」「家が狭い」「夫の協力が得られない」…と続く。 抽出速報にこんなデータもある。二十五−二十九歳女性の59.9%、三十−三十四歳男性の47.7%が未婚だ。 国は将来推計人口を甘く考えがち。ところが、現実の少子高齢化はもっとハイペースだ。 厚労相の諮問機関・社会保障審議会人口部会は、社会保障制度設計の基礎となる将来推計人口の見直し作業に入った。 推計人口を下方修正しないと公的年金、医療、介護保険など各制度に狂いを生じる。 国の少子化社会対策会議は六月二十日、「新しい少子化対策」を公表。子どもの成長に応じた子育て支援策、若者や女性の働き方改革、「家族の日」「家庭の週間」制定…などを掲げた。 施策を掛け声だけに終わらせず、しっかりと財政措置をしてほしい。「少子高齢大国」脱却は百年以上の大計である。
●高齢化世界一/少子化を止めるしかない
日本の総人口に占める六十五歳以上の高齢者の割合を示す高齢化率が、二〇〇五年の国勢調査による速報値で21・0%と分かり、世界最高となった。 一方、十五歳未満の年少人口の割合は13・6%と前回より1ポイント下がり、過去最低となった。これも世界最低水準である。 つまり、世界で最も高進した「少子高齢国」になった。さらに、心配なのは、この勢いに陰りが見えないことだ。 高齢化率は、二〇〇〇年の前回国勢調査から3・7ポイントも上昇しており、急激なカーブを描いているといってよい。また地域別で見ると、最高値となった秋田県の28・1%から最も低い埼玉県の16・9%まで、すべての都道府県で上昇している。 日本は、平均寿命が男女とも世界一を維持する長寿国である。高齢者が多いのは当たり前で、むしろ喜ぶべきだろう。 問題は、五人に一人がお年寄りという高齢化率なのだ。先ごろ発表された〇六年版高齢社会白書によれば、このまま推移すると一五年には26%にもなる。 人口構成のバランスが崩れ、労働人口の減少で社会の活力が弱まるだろう。年金や医療、介護など社会保障制度の維持も難しくなる。繰り返し指摘されてきたことであり、深刻に受け止めねばならない。 避けられない以上、高齢化に備えた社会づくりが急がれる。高齢者の就業機会の拡大▽健康と福祉の充実▽高齢者のさまざまな社会参加の促進▽交通機関や施設などのバリアフリー化の推進-などを早急に整備していく必要がある。 高齢化率の上昇を抑えるには、少子化の進行を押しとどめるしかない。だが、その少子化も危機的状況に陥っている。 昨年末に、日本の人口が初めて減少に転じたことが分かった。また、先月初旬には人口動態統計で出生率が1・25と、前年の1・29から大幅な低下が明らかになった。大きなショックが相次いでいる。 先月下旬、政府の少子化対策がまとまった。乳幼児手当などの子育て支援策が柱だ。次いで、若者の正社員化や長時間労働の是正で、家庭を持ち、子供を育てる環境づくりへの支援策などが続く。 しかし、施策全般にインパクトが弱いうえ、財源の裏付けもまだ十分ではない。少子化を緩和させる、との社会への強いメッセージにはなっていない。 「少子化」と「高齢化」は決して別々の問題ではなく、社会全体の課題と受け止めるべきである。「世界最高」を返上できるように、衆知を集めたい。
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