女の世紀を旅する
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2003年07月22日(火) |
《 生成の無垢 2 》 (ニーチェ格言集) |
《生成の無垢 2》(ニーチェ格言集)
23. 私たちは、おのれが他人に加える害を考えてみる想像力を、なんとわずかしかもっていないことか。
24. 残酷さは、張りつめた誇り高い魂の持ち主たちの気持を軽くするものだ。彼らはおのれ自身に対して絶えず苛酷にふるまうのだ。苦痛を与えるということは、彼らにとって一つの祝祭なのである。
25. 敵に対しては,第二の敵よりもまさった対抗手段はない。
26. 意志が現れるやいなや,感情は解放感をおぼえる。つまり感情は受動的なので,意志が現れるやいなや,感情は休止し,受動的にはたらかないのだ。このことを人々は「意志の自由」と名付ける。
27. 意志の不自由を感ずる者は,精神の病いをかかえた者だ。意志の不自由を否認する者は,愚か者だ。
28. おのれの情動に打ち勝つというのは,たいていの場合には,その情動を一時的に阻止し,せき止めるということ,それゆえ危険をいっそう大きくするということにほかならない。
29. おのれの理性によって大いに苦しめられている者にとっては,情動は一つの気晴らしである,つまり一つの不合理として。
30. おのれの情欲を恥ずかしがることはない。恥ずかしがるためには情欲はあまりにも不合理なのだ。
31. 意志が創造するということ,それはすべての衝動が活動するということである。
32. 人々はけっして所有しない。なぜなら,人々はけっして存在しないからだ。人々はたえず獲得するか,それとも喪失するかだ。
33. 私たちの欠点は私たちの最善の教師である。だが最善の教師に対しては人々はつねに恩知らずである。
34. 精神的な高貴さの目印は冷静な眼差しに存する。
35. 心は,感激せるものてあり,そして精神は,勇気づけ(心を強くし),危険のさい冷静にさせるものである。
36. 健康上,一種の怠惰が消化のために必要である。体験の消化のためにも。
37. 誰かが大きくなろうと努めるのは,その小ささを示すことだ。最善の資質をもつ人間たちは小さくなろうと努める。
38. もっとも権力のある人間たちが偉大な俳優であったということを見抜くのに,人類の眼差しはこれまであまりにも鈍かった。
39. ある民族が後退するときですら,その民族は一つの理想を追いかける。その民族は前進しているとつねに信じているのだ。
40. 崇高なもののうちでは居心地のよくない者は,崇高なものを何か不気味で虚偽のものだと感ずる。
41. 長期にわたる大きな肉体的苦痛は,ひとを暴君に育てあげる。
42. いわゆる愛嬌のある者たちは,愛の小銭で私たちに釣銭を出すすべを心得ている。
43. 逆上するまでは,おのれの気力を知らない者が少なくない。
44. 狡猾な人間は,通常,単純な人間であって,複雑な人間ではない。
45. 絶望している者にその者の弱さについて語るという仕方でしか、絶望している者に強さを教えるすべがないことが,しばしばある。
46. 目に見えない糸でもって人々は最もかたく束縛される。
47. 大きな愛は,お返しをしたり報いたりしようとはしない。大きな愛という海で,報いるということは溺死してしまったのだ。
48. 人々は愛さざるをえない人を,なぜ人々はいつも同時にまた憎まざるをえないのか? 愛はあらゆる苦悶のうちで最大の苦悶ではなかろうか?
49. 君が,まず第一に,またどんなことがあっても畏怖の念を吹き込むのでなければ,誰ひとりとして,君の言うことを大変まじめに受け取って,ついには君を愛するにいたる者はないであろう。
50. 私たちはおのれ自身に対してよりも,他人に対していっそう率直である。
51. 私たちが或る人間から離脱したいのなら,私たちは彼の前で卑下しさえすればよい。このことはただちに彼の虚栄心を刺激し,そこで彼は逃げ去る。
52. 人々がおのれの隣人において憎むのは,その隣人が私たちの理想をもちえないという点なのだ。
53. 愛想のよさのうちには,多くの人間軽蔑があるが,人間憎悪や人間愛は少しも存しない。
54. 不屈の者のみが,おのれ自身について沈黙してよい。
55. 真理を十分にもっているなら,人々は人間たちとの交際のためにもはや嘘を必要としない。そういう真理でもって人々は彼らを欺いて,どこへなりと望みのままに誘惑することができる術をもっているからだ。
56. 嘘は認識者たちの博愛である。
57. 大きくなろうと努めている人間たちは,普通は資質のよくない人間たちである。それが,おのれに耐えるための,彼らの唯一のやり方なのだ。
58.生存の喜びを収穫する秘訣,それは危険に生きるということだ。君たちの町をヴェスヴィオス火山の山腹に築け,君たちの船を未知の海洋に送れ,君たちの仲間,また君たち自身との闘いのうちに生きよ。臆病な鹿のように森の中に隠れて生きることでことたりた時代は,まもなく過ぎ去るであろう。
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