女の世紀を旅する
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2003年01月08日(水) 2003年の相場動向(株式・為替)を予測

2003年の相場動向を予測する

――景気と為替の方向性を探る――
                     2003.1.8




今年は,デフレ不況の克服に焦点が向かうだろう,また銀行の不良債権処理が進展するか否かが,日本経済の明暗をわけることだろう。

インフレターゲット政策の実施も予想されるが,株価の反発は小泉政権が総辞職して総選挙が実施された場合に起こる可能性が高い。

為替は円安に向かうと予想する






週末の米国株 NYダウ8601(−6)   ナスダック1387(+3)

 年最初の2日のマーケットは、NYダウが265ドル高、ナスダックが49ドル高と急騰した。週末3日には反落の動きが出ずに強い動きとなった。



    日経平均 為替 長期金利 NYダウ ナスダック 米長期金利

3週前  8516    122   1.00   8433  1362    4.07

2週前  8406    120   0.94   8511  1363     3.96

1週前  8714   119   0.91   8303   1348     3.80

年末 8578 119 0.90 8601 1387 4.03



日経平均25日移動平均 8755円(+15円)






●膠着する景気と為替はどちらの方向に動くか?

・半導体製造装置受注落ち込むが、米ISM製造業景気指数は急回復

・米国、10年で72兆円の景気対策を追加へ

・原油、金の投機化進む。OPECは原油増産で価格安定化へ

・日本マクドナルドが店舗削減を拡大



 現在注目されるのは、景気と為替が上下どちらのトレンドが見えてくるか。景気は昨年半ばから横ばい状態、為替は120円はさんだもみ合いが続いている。



●米ISM製造業景気指数が急回復、景気上放れの兆か?

 経済指標については年末年始に発表されたものを概観する。

日本の11月の鉱工業出荷・在庫ともに横ばいの動き。電機セクターの出荷(≒生産)は10月に上放れかけたものの11月は落ちた。しかし、ここ半年間のもみ合いの範囲であり、方向観が出るほどの動きにはなっていない。横ばい状態が続くだろう。

 心配なのは日本製半導体製造装置の受注が11月に落ち込んだこと。ただし、世界半導体販売額は11月も堅調に伸びており需要動向はまずまず。

 この横ばい状態が続くとして,景気がどちらに動き出すかが非常に注目されますが、新年早々に発表された米国の12月ISM製造業景気指数は事前の予想の50を大幅に上回る54に。特に新規受注が11月の49から63へと急上昇しており、大いなるサプライズとなった。これを受けて米国株とドルはともに大幅に反発した。景気が上昇トレンドに戻るサインとなりそうな気配も出てきた。

 この動きを後押しするかのように、米国では10年間で72兆円(6000億ドル)の追加景気対策が打ち出された。すでに始まっている162兆円(1.35兆ドル)の景気対策とあわせ、10年間で234兆円という空前絶後の大型景気対策となっている。

 

●原油と金の上昇トレンドはピークアウトが近いと予想

 金価格は2002年12月はじめに316ドルだったものが345ドルまで急騰したが、1月の年始にはさらに351ドルに上昇した。原油は11月半ばに25ドルだったものが30ドルとなっていましたが、年始には33ドルまで続騰した。一段と投機化して株式市場の波乱要因になっているが、そろそろこの動きは一服すると予想される。原油についてはOPECが25〜28ドルのレンジに収めるべく増産することになった。

 

●為替は円安トレンドを予想

 今後の為替動向については、円安方向となると予想する。また、それが株式市場を押し上げる要因になるのでなかろうか。

円安予想とは,逆に一般のマーケットでは次のようなポイントで円高方向の予想が圧倒的に多い。

・米国政府がドル安政策に転換するのではないか

・イラク戦争など政情不安でドルが避けられるのではないか

・米国の財政赤字

・日本の財務官が交代した。

 米国政府がドル安政策を明確に取る可能性はほとんどないと思う。アメリカ産業界からのドル安待望論は当然あるが、米国市場からの資本流出が懸念されている状態でドル安政策をとることは考えにくい。前財務長官は為替介入を一度もせずに実質的に中立スタンスであったが、新財務長官になってもこのスタンスは続くのではないでしょうか。

 政情不安についてはドル安要因にもドル高要因にもなりうるので、一方的にドル安要因とするのはこじつけに感じられる。おそらく、出始めたトレンドをどちら方向にも加速させる理由づけになるのではと思われる。

 米国の財政赤字については、通貨不安を起こすほどのレベルでは到底ありません。また、かなり積極的な経済対策の結果でもあり、むしろドル高要因にもなりえる。

 日本の財務官が交代した隙に円が狙い打ちされて買われるという説については、99年7月に榊原さんから黒田さんに交代した後に円高が起こったことからの連想で、そのように言われている。これも、円高への相場エネルギーが溜まっていれば、それを解き放つきっかけになるだろうが、そのこと自体が円高トレンドを生み出す力にはなり得ないと思う。



●円安を予想する根拠

・日本政府の円安スタンスが明確であること

・日銀の量的緩和の方向性が明確であること

の2点である。

 円高の節目は117円、円安の節目はとりあえず130円。これは、90年代以降続いている円ドル相場の三角もち合いの上下のライン。昨年半ばにかけての円高時にもこのラインが機能していた。今回も機能すると思う。

 年末年始のNY市場では118円台まで円高が進んだ後に120円前後まで戻している。再度円高に向かったとしても117円台までと予想される。このまま円安の動きに入る可能性もあると思われる。

 米国経済の回復トレンドと円安トレンドが見えてくれば、当然ながら日本の株式市場にとってプラスに働くから,トヨタやソニーなど優良株も上昇しよう。



●外食産業は今が最悪期か?

 毎月の企業月次成績を見ても分かるように、外食は最悪の状態である。主要外食チェーンの既存店売上は昨年11月までで実に60ヶ月連続前年割れになっている。デフレが深刻化し,外食業界は当面苦戦がしいられるだろう。

 もっとも、この動きもそろそろ大底になりつつあるのではなかろうか。外食産業の苦境が大々的にマスコミでも取り上げられるようになり、日本マクドナルドなど外食デフレの象徴的な企業が店舗削減に動きだしているからである。




●予測の結論

 
・経済はここから下降しても底は浅い。再上昇トレンド入りの可能性もある

・円安になりそうだ。少なくとも円高の可能性は少ない

・金と原油の投機化はそろそろ沈静化しそう

・イラクとの戦争もたいした波乱材料になりそうもない

・需給面は外人、信用で売り圧力小。銀行の保有株売り懸念も後退する

・12月から個別にセリングクライマックス的な動きが相次いでいる

などの点から考えて、引き続き、日経平均は8200円から下に抜ける可能性は少ないと予想する。8000円割れがあっても,一時的となろう。


★ 景気については横ばいで方向感が出ていませんが、かりに下に行ってしまっても、そもそも生産レベルがほとんど上がっていませんから在庫の積みあがる心配が大きくありません。在庫が積みあがらなければ、景気の底はかなり低くなる。景気が下にいっても底が低ければ、昨年後半の株価下落でそれを織り込んでしまっている可能性が高いです。

 需給面については、銀行保有株の持ち合い解消は日銀がだいぶ吸収しそうですし、外人の日本株保有比率はベンチマークの半分程度まですでに落ちている。信用買い残も90年代以降のほぼ最低水準にすでに達している。これら需給面から見て、株価がここからさらに大きく売られる可能性は少なそうです。金融不安を深刻化させる8000円割れの事態は考えにくい。

 以上から、日経平均については2003年の相場は「当面、8200〜9400円のレンジでのもみ合い」と予想する。8200円は年初来安値近辺であり、9400円は9月末の水準で銀行の持ち合い解消売りが出やすい水準ということが根拠となっている。いずれにせよ,今年の相場は日本経済の再生か没落かの,正念場となることだけは確かだ。3月決算がハイライトとなろう。


カルメンチャキ |MAIL

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