女の世紀を旅する
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2002年09月23日(月) 日朝首脳会談,拉致された日本人8名の死亡

《平壌で日朝首脳会談,拉致された日本人8名死亡》
                  2002.9.23



拉致された日本人の安否が判明,8人死亡で日本中に衝撃が走る

★田口八重子さん>>(86年7月30日死亡)   78年6月拉致

★新潟 横田めぐみさん>>(93年3月13日死亡) 77年11月拉致
★新潟 蓮池薫さん>>(生存確認)
   奥土祐木子さん>>(生存確認) 78年7月拉致

★福井 地村保志さん>>(生存確認)
    浜本富貴恵さん>>(生存確認) 78年7月拉致

★神戸 有本恵子さん>>(88年11月4日死亡) 83年7月拉致

★大阪 原敕晁さん>> (86年7月19日死亡) 80年6月拉致

★鹿児島 市川修一さん>> (79年9月4日死亡)
     増元るみ子さん>>(81年8月17日死亡)78年8月拉致

★松木薫さん>> (96年8月23日死亡) 80年夏ごろ拉致

★石岡亨さん>> (88年11月4日死亡) 80年夏ごろ拉致




●有本さんと石岡さんは同時に処刑? ともに1988年11月4日死亡

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に拉致された有本恵子さん(不明当時23歳)と石岡亨さん(同22歳)の死亡した日は、ともに「88年
11月4日」であると北朝鮮が日朝首脳会談時に伝えていたことがわかった。家族に対して外務省が9月19日、伝えてきた。2人が北朝鮮にいることは、88年9月に石岡さんが北海道の実家に出した手紙で明らかになっている。手紙は北朝鮮から極秘に旅人に託してポーランドから出されたものとみられており、その約2カ月後に2人が同時に死亡していたことになる。同じ日に処刑されたということであろう。

横田めぐみさんは93年3月13日、田口八重子さんは86年7月30日に亡くなったとの情報が、それぞれ家族に連絡された。

 関係者の話によると、札幌の石岡さんの実家に届いた手紙には有本さんと石岡さんの写真が同封されていた。「事情あって有本恵子君ともども、平壌市で暮らして居ります」などと記されていた。

 手紙は88年9月に届いた。手紙には、石岡さんと有本恵子さん、スペイン留学中の80年に消息不明になった松木薫さん(当時26歳)の3人の名があり「3人で暮らしている」と書かれていた。「とりあえず、最低、我々の生存の無事を伝えたく、この手紙をかの国の人に託した次第です」

 封筒には石岡さんと有本さんの写真と、赤ん坊の写真が同封されていた。「あの国にいたいわけではないことは痛いほどわかった」と家族はいう。

 手紙を受け取った石岡さんの家族は、有本さんや松木さんの家族と連絡をとり、外務省に嘆願書を出した。しかし、職員の返事は「北朝鮮とは国交がないので何もできない」。同じころ、有本さんの両親はテレビ各局や新聞社にも取材を求める手紙を送ったが、反応はまったくなかったという。

 有本恵子さんと石岡享さんの2人は,手紙の発覚から2カ月後に処刑されたということになる。



●韓国からの情報,1990年代末「横田さん似の女性を目撃」亡命者証言も

 北朝鮮に拉致された日本人について北朝鮮は8人がすでに死亡したと発表しているが、一方で実際は最近まで生存していたのではないかとする未確認情報があり,関係者を緊張させている。

 韓国の情報筋が9月21日までに明らかにした最も新しい情報によると,拉致日本人たち約10人がこの7月まで北朝鮮のある招待所(特別宿舎)で当局の厳しい管理の下に集団生活をしており、その後、他の場所に移動させられたという。

 この移動は、小泉純一郎首相がカナダでの主要国首脳会議(カナナスキス・サミット)の各国首脳との会談で拉致問題を取り上げるなど、日本政府が問題解決に強い姿勢を見せたことで、北朝鮮当局として何らかの対応策を迫られたためではないかとみられるという。

 また韓国の有力紙・朝鮮日報は昨年8月24日付で情報筋の話として「1990年代末まで平壌のアンサン招待所で拉致日本人8人が集団生活」と報じている。

 同筋によるとこの情報をもたらしたのは、2000年春に韓国に亡命してきた北朝鮮の主席府経理部出身の「ナングァンシク」という人物で,彼によると,平壌にいた際、職場が招待所の近くにあり、招待所に知り合いがいたことから目撃できたという。一同はほとんどが女性と子供で、日本の歌なども歌っていたと証言しているという。

 この亡命者は拉致日本人の顔写真から、横田めぐみさんと奥土祐木子さんに似ていると証言したという話もあるが、もしこの目撃証言が事実なら横田さんは1990年代末までは生存していたことになる。

 またこの亡命者情報については日本政府(外務省)が一昨年、ソウルに調査員を派遣、亡命者の事情聴取を行っている。

 同筋によると、韓国の情報当局は拉致日本人の行方についてはこのほか複数の未確認情報を得ており、拉致日本人のほとんどが最近まで生存していた可能性は十分ありうるとの見方をしているという。

 一方、日本の外務省が今回、北朝鮮側から死亡者の死亡時期を通報されながら公表しなかった裏には、これまで日本政府にこの種の「生存情報」がもたらされていたことも影響しているのではないか、とする見方がソウルでは出ているという。

 北朝鮮が一部だけを生存者とし、ほとんどを死亡と発表した背景について同筋は「生存しているとなれば日本に送還、帰国させなければならない。そうなると北朝鮮の内情が暴露される恐れがあるため、その危険性がある人物については死亡としたのではないか」としている。



●「北朝鮮、軍事クーデターの恐れ」 米、日朝首脳会談前後の情勢分析
――軍部,拉致謝罪に不満 金正日総書記と確執か――

 米国情報筋は,9月21日、日朝首脳会談前後の情勢を分析した米政府が、北朝鮮での軍部によるクーデターの可能性を懸念、偵察衛星による朝鮮半島の監視を強化している実態を明らかにした。

 同筋によると、米政府は韓国の金大中大統領やロシアのプーチン大統領が2年前の夏に訪朝した際には軍高官が制服姿で多数出迎え、会談の席上にも認められたのに対し、今回の日朝首脳会談ではほとんどその姿を確認できなかったことなどに注目しているという。「ソフトムードへの演出」であることを認める一方で、軍高官と金正日(キムジョンイル)総書記との間に「拉致問題の扱い」をめぐって溝が深まっているとの見解を示した。

 その理由について、同筋は「拉致は1970年代後半から80年代前半という金日成(キムイルソン)体制下で実行された。当時、金正日総書記もこうした工作活動を知る立場にあったが、具体的なすべての指令や日本人の死亡などの情報を伝えられていたとは限らない」と伝えている。

 さらに「そうした経緯で拉致問題に関して金総書記が軍の反対を押し切って安否情報を出し、責任者の処罰と謝罪を発表したとすれば、軍には大きな不満が残るだろう」と説明している。

 米国情報筋はまた、「米大統領の場合、米中央情報局(CIA)が要人暗殺を謀る際は説明を受けるが、工作のすべてを知っているわけではない」とした上で、「“裸の王様”の金総書記ならなおのことで、実権の掌握後、しばらくは末端工作までは知らなかった可能性がある。金総書記は現在も、陸海空三軍で100万を超す軍部を抑え切れるのかどうか、緊張しているはずだ」と分析した。


●能登沖の工作船 工作員収容が目的か?

 また一方で、同筋は今回の首脳会談に先立ち能登半島沖に出没した4隻の工作船について、日本国内で活動していた工作員たちを引き揚げさせるための船だったと、日米両政府が工作船の交信内容から分析していると証言した。

 同筋によれば、米軍事偵察衛星情報で明らかになった工作船4隻は、北朝鮮側と「これより収容を開始する」という内容の交信をしていたもようだ。

日米両政府では、そうした交信内容やその後の北朝鮮の動向を傍受・分析した結果、北朝鮮側が
(1)八月以前に首脳会談での「工作船の再発防止」を約する方針を決めた。
(2)工作船が首脳会談以降も目立っては得策ではないと判断した。
(3)首脳会談を控えた8月末に工作船を出港させ、日本国内に送り込んだ工作員の可能な限りの引き揚げを決行した,との結論に達したという。

 一連の金総書記の方針は「拉致」と「工作船」という軍情報機関の“功績”を事実上否定したことから、「米政府は軍部によるクーデターの可能性も否定していない」(同筋)という。



●朝鮮統一後も米軍駐留が必要と米シンクタンク提言

 米国の有力シンクタンク国際戦略研究所(CSIS)は9月19日「統一朝鮮に向けた米政策の青写真」と題する報告書を発表した。韓国と北朝鮮の統一後も地域の安定のため朝鮮半島での米軍駐留を続け、日韓両国を米国の核の傘の下に置くべきだと提言した。

 報告書はそのための環境整備として、日韓両国と統一後の地域安保体制について今から協議を開始するとともに、韓国内での反米感情の軽減に努めることが重要だと強調した。また、南北統一後の朝鮮半島が日本にもたらす最大の課題は反日感情の高まりだとして、重要な同盟国である日韓の和解を促進することが米国の利益につながると提案している。

 報告書は、朝鮮半島が将来、韓国主導で統一される「可能性は極めて高い」としており,
(1)平和統一 (2)北朝鮮崩壊 (3)戦争
の3シナリオを提示し、いずれも北東アジア情勢に激変をもたらすだろうと予測している。

 地域の安定のためには、規模などに柔軟性を持たせた上で朝鮮半島に米軍を継続して駐留させることが重要と指摘するとともに、統一によって米軍の部隊構成や地位の変更を行う場合は日韓両国と綿密な協議が必要と強調している。この処理を誤ると、在日米軍撤退要求などを招き「アジアの米国の地位に破壊的な影響をもたらす」としている。

 また、日本にとって「最悪のシナリオ」は、反日感情が強まった統一後の朝鮮と中国・ロシアが領土問題などを契機に協調し、日本の利益に対抗することだと指摘している。

 報告書は、同研究所のデレク・ミッチェル上級研究員ら16人の作業グループによってまとめられた。

★日本にとって,なんとも物騒な報告書の内容であるが,統一朝鮮が中国に傾斜していく可能性は十分に考えられるシナリオだけに,日本としても近未来の青写真を構想しておくことが大切であろう。いずれ,アメリカと中国との東アジアにおける覇権争いが激化することが予想されるので,日本の外交戦略も危機感をもって対処しなければならない事態がやってこよう。米国のイラク攻撃とともに,東アジアの政局も大きな激動に入っていくことになるので,国際関係の性善説を信じる日本外交ももはや安閑としてはいられないだろう。



カルメンチャキ |MAIL

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