女の世紀を旅する
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2002年07月21日(日) |
ついに来たNYダウ暴落(8019ドル) 日米大恐慌が切迫 |
《 ついに到来,NY株大暴落8000ドル割れ 日米大恐慌が目前 》 2002.7.21
●ついに米国株式のバブルが崩壊,下値のメドは6000円台?
とうとうやってきた。日本中の多くが長年,いまかいまかと待ち続けていたバブル漬けのNYダウの大暴落が開始した。歴史に残る大事件なので今後の推移に注目してゆきたい。
7月19日,ニュヨーク・ダウ株価は一時8000ドルの大台で割り込み ,終値は前日比390ドル安の8019ドルと,1998年10月以来,3年9カ月ぶりの安値に落ち込んだが,6月20日にこのサイトで「8000ドル割れがまもなく起こる」と予測した通りの展開となってきた。
5月17日,NYダウが1万353ドルをつけて以降,ズルズルと下落していた株価はカナダのカナナスキス・サミット開会中の6月26日,一時,9000ドルを割れこみ,同時にナスダック市場も1375ポイントまで下落した。これに応じて日本の株価も12000円から下落して,10074円まで下がった。
今後,日米の市場関係者の最大の関心事は米株価の下値のメドであるが,チャート上でみる限り,いずれ6500ドル前後まで下がらないとボトムとならないとみるアナリストもいれば,5000ドル台まで下落しないと仕切り直しにはならない,という人もいる。いずれにせよ,今回の米株の大暴落は世界経済に今後,深刻な影響を与えるのは必至である。たしかに「日米大恐慌」の足音が近づきつつある。
●明日(7.21)の東証の株価は一時,9700〜9800円か?
明日,月曜日の東証は10000円の大台を割り,一時,9700〜9800円ぐらまで下がると予想している。この近辺では押し目買いが入ってくることも予想されるが,円高115円後半の動向もあり,そう大きく反発はしないだろう。市場関係者の最大の焦点は月曜日(日本時間22時開始)のNYダウの行方にかかっている。一時,8000ドルを割ったあと反発してくるのか,いよいよ7000ドル台に下落してしまうのか,を見守りたいムードが市場に存するから反発も限定的と推測する。
アメリカとしては日本のような,長期にわたるバブル崩壊後の株価のゆるやかな下降(ソフトランディング)を避けたいだろうから,8〜9月にかけて6000ドル台まで無理やり大暴落させ,ハードランディングを断行して市場の再上昇のための踏み固めを企図しているのでなかろうか。日本の失敗(バブル崩壊後のデフレ不況)の草鞋(わらじ)を踏まないためには,電撃的に株価を思いきっり下げ,チャート的に出直し相場を作ることが必要となる。もちろんそれは大きな賭けで,リスクが大きいが,アメリカ経済の再生のためには一回,市場が大崩壊しなくてはならない。
●絶望的なアメリカ株式とアメリカ財政
経済評論家の渡辺茂雄氏によれば,「1996年にアメリカの株価が6000ドルを超え,7000ドル台に迫ろうとした時,当時のグリーンスパン・米連邦準備制度理事会議長が“理由なき熱狂だ”と行き過ぎを警告した。無理もありません。1990年には株価が2000ドル台だったのに,わずか10年で5倍にも膨れあがったです。異常です。いままさにそのITバブルが崩壊しているわけです。日本のバブル崩壊と極めて似ています。
アメリカは日本の二の舞いをしないように警戒しているにもかかわらず,今回のエンロン,そしてワールドコムと続いた粉飾決算で,その好業績さえ虚偽だったことが明らかになってきている。米SEC(証券取引委員会)など,2300人もの職員を抱え,世界一厳密な検査を行うところだと言われていたのに,それがウソだったことまでバレてしまった。すでに日米とも恐慌の入り口に立っていることは確かです。」
また,エコノミストの森永卓郎氏によると,アメリカの財政事情はほとんど絶望的というほどの悲惨な状態なのだという。
「たとえば,アメリカの経常赤字は2000年が4400億ドル,2001年が4200億円ドルと,毎年日本円に換算すると50兆円ものペースで増えているんです。しかも,アメリカは対外債務を累積で9兆ドルも抱えている。円換算でざっと1080兆円ですよ。日本の政府債務400兆円なんてかわいいものですよ。しかも,日本と違って3分の1は外国の債権者なのです。イングランド銀行のアナリストが昨年,日本・トルコ・アルゼンチンは世界の不安材料だ,などと言っていましたが,冗談ではありません。アメリカの方がずっと危険なんですよ。」
日本人のどれだけの人がこの現実を知っているか知らないが,背筋が寒くなってくる話しである。『2003年日米恐慌』の著者,松本和男(和光経済研究所元副社長)は,さらに悲観的である。 「かつての世界恐慌(アメリカのデフレ大不況が発端)と今の現象が余りに酷似していて,おそろしくなります。アメリカのバブルは一昨年をピークに弾(はじ)けましたが,ちょうど日本のバブル崩壊から10年遅れになっているんです。大規模なバブル発生と崩壊は60年くらいの長期サイクルでやってくると言われていますが,実は前回も,まず1920年(大正9年)に日本のバブルが弾け,それから9年遅れて1929年,世界恐慌が始まっている。今回,10年前に日本のバブルが弾けた時,企業の設備投資は減り,個人消費が落ち込んで,民需が減っていきました。それから官需主導で,財政出動で公共投資をおこない,さらに輸出でなんとかカバーしてきたものです。しかし,それも今や限界。頼りの輸出企業もアメリカのバブル崩壊でコケ,日本は浮上できなくなるでしょうね。」
松本氏による株価の暴落予想は恐怖にみちみちている。 「1929年のアメリカ株は史上最高値をつけたあと,34カ月で89.2%下げました。今回のアメリカ株の最高値は2000年1月の1万1722ドルですから,34カ後,つまり今年の11月に1266ドルまで下がることになる。これはもはや世界恐慌ですよ。日本の株価は前回の世界恐慌の時,ピークから78.5%下げましたから,今年の11月には8366円を覚悟していた方がいいですね。」 いやはや,これはまさに恐怖のシナリオというほかない。
●恐慌回避の術はあるのか
国際エコノミストの水野隆徳氏によると,世界恐慌を回避する術はもはやないという。「ナスダック(米国)は数年はおろか10年たってもピークを更新することはできませんよ。想像以上にアメリカバブルの崩壊は深刻なんです。すでに歴史的な低水準までアメリカは金利を落としており,有効な手段もない。今回の暴落で投資家はアメリカからどんどん資金(数兆ドル)を引き揚げています。対処療法など,残念ながら皆無です。1929年の世界恐慌は第二次世界大戦の軍需景気で回復しましたが,今回はそんなことは出来ません。となると,残された道は日本は自らのバブル経済の膿を吐き出すしかない。大銀行は次々に倒産し,地方銀行の半分は破綻し,生保の倒産が相次いで,中小企業は壊滅状態ですね。失業率は10%を軽く超えてしまうわけですが,国民はそれくらいの痛みを覚悟する必要があります。これからは,本当の意味で自己防衛の時代,個人が自分で自分を守っていくしかありません。」
先の渡辺茂雄氏によれば, 「日本の終身雇用制は崩れ,デフレスパイラルが進み,現在の国民平均所得420万円は数年もしないうちに300万円まで落ちてしまうでしょう。 本来,日本が海外向けに援助する余裕などありませんよ。国債格付けでアフリカのボツワナや南米のチリより下なのに,0DA(政府開発援助)を年間1兆8000億円もバラまいているから信じられない。この0DA1兆8000億円は少なくとも国内に使うべきでしょう。それでも焼け石に水でしょうが……」
今後,米国株は8000ドル割れから,下げては少し反発,下げては少し反発を繰り返しながら,6000ドル割れあたりまで下落していくことだろう。
松井道夫・松井証券社長も次のように断言している。 「根本的な問題を何一つ解決せずに,株価は回復しない。わが国でいえば,銀行の不良債権や,400兆円にのぼる財政赤字を解決しなければ,株価の本格的な回復なんてそもそもあり得ないんですよ。」
後世の歴史家は1990年代のアメリカは「永遠の繁栄」を国民に現出させた,しかし,それも儚い夢として消えていったと形容するかもしれない。 いまや,1990年代を牽引したアメリカ経済が実は「砂上の楼閣」であったことが判明した今,世界経済の主導権は強いユーロを押し出してきたヨーロッパに移行するのか,今後のアメリカ市場から目が離せない。
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