女の世紀を旅する
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2002年04月05日(金) 反日,嫌日をつくる国定韓国高校歴史教科書


歴史検証  《反日,嫌日をつくる国定韓国高校歴史教科書 》


                           




●韓国人を反日,嫌日にさせる歴史教科書の内容

韓国人の日本(イルボン)に対する怨念は深い.戦後57年間も続いている怨念の背景は,実は韓国の国定歴史教科書にあるのは間違いないと私は推察している.憎しみの温床は韓国の歴史教科書にみられる日帝(教科書では一般にこの呼称で表記)の蛮行の数々の史実にあると思う.それらの史実はたしかに事実にもとづいているが,きわめて反日をあおる内容で,これでは今後数十年たっても韓国人の反日感情と怨念が続くだろうと予想せざるをえない.歴代の日本の首相が謝罪を繰り返してきた経緯を思い出してもらいたい.いくら謝罪を繰り返しても韓国の国民感情が許さないのも当然なのだ.
 
 ところで,最近,韓国の国民をいたく感激させたことがあった.それは日本の天皇の発言で,実は天皇家の遠い祖先が百済と血縁的に結びついていたという内容で,「やっぱりそうだろう.日本人の祖先の多くは帰化人の末裔なんだよ」という,韓国人の自尊心をくすぐるような事実であったため,向こうのマスコミも大騒ぎしたのである.


 ところで,再び本題に戻るが,興味深いのは民族主義の高揚を意図して編纂されたこの国定教科書は日本の植民地時代の蛮行を直視させて,高校生の愛国心をはぐくむ意図がみえみえであるということだ。日本は過去のことは水に流して,新しい日韓友好を築きませんかと,戦後長い間,呼びかけてきていつも徒労に終わってきた経緯がある,根底的な日本に対する不信感がいつまでも消えないのは,こうした日帝の圧政と,「われわれ韓国人を日本はずっと差別してきた」という先入観が歴史教育でしみこんでいることと無関係ではないだろう。たとえば,日本を訪れる韓国の旅行者は一年間で数十万人に及ぶが,今でも日本では差別意識があると思い込んでいる人が多く,電車に乗っても韓国語で会話し,喋りあうことをしない.日本人に白い目でみられるのでないかという危惧がある.日本人には韓国人に対する差別意識があると学校で教わってきたから無理もないのだが,実のところ,こうした被害者意識を植え込んできたのも,韓国の歴史教育に責任の一端があるのではないか.



●韓国の歴史教科書は徹底して愛国心で貫かれている

 扶桑社の中学歴史教科書に対して昨年8月に韓国側は怒り抗議デモを展開し,日本の新聞やテレビも大々的にこれを報道して大騒ぎとなったが,これは日韓関係を険悪化させ,21世紀にわたる両国の関係を悪化させる事態につながると,多くの日本人に不安を抱かせた.ここで日本人が注意を払いたいのは,韓国の反日感情が戦後57年間も続いている事実で,その背景の一つが実は韓国の国定歴史教科書で数十ページにおよぶ日帝の植民地支配の蛮行に関しての史実が強烈なインパクトを与えているという点なのである。赤裸々に日本の限りない悪事を列挙しているこの高校歴史教科書を通読すれば,どんな韓国人も日本人嫌いにならない方がおかしい.この国定歴史教科書の内容を日本人はほとんど知らない。日本語版が出版されているので読んでみるとよい.日本人は強烈なパンチをくらうことになる.

 韓国のナショナリズムを高揚させ,愛国心を強める上で,大日本帝国の蛮行と,これに抵抗した韓国の烈士を詳細に言及することは効果的なことには違いないが,それは時として韓国人の日本に対する憎悪とコンプレックスを醸成させ,激しい日本に対する対抗意識を育む土壌となっている.日本の植民地時代の土地奪取,経済的搾取,同化政策,創始改名,神社参拝強制などの屈辱的な史実を延々と言及しているこの歴史教科書は,まぎれもない日帝の圧政的な足跡を記述しており,日帝の政治的,社会的な弾圧,経済的搾取,民族文化の蹂躙をこれだけ詳細に学べば,まちがいなく日本嫌いになるのは必至だ.日本植民地支配の長所はどこにも見当たらないのは仕方がないにしても,数多くの不当な弾圧を加えた悪逆非道の日本の行為を知れば,たいていの韓国の青年は日本不信に導かれる.

 愛国心の高揚を目的とし,民族史観に立って書かれているので,韓国の歴史と文化を称賛する内容が多いのは当然としても,韓国の学生を反日,嫌日に導くため,これでは何年たっても真の日韓友好は到来しない.長年の反日感情の醸成に韓国の民族主義に貫かれた歴史教科書が果たした役割は見逃せないと敢えて言いたい.その記述の史実は正しくても,アンチイルボンを染み込ませる大いなる源泉を歴史教科書は提供している.それに比べれば,日本の歴史教科書で言及されている愛国心などは子供だましに見えてくるほど,韓国の教科書はストレートに民族主義,愛国主義で貫かれている.教科書の一番最初が,古朝鮮を建国(前2333年?)した神話上の檀君王倹から始まっているのも実に興味深い。民族の始祖神話から歴史をひもとくことは,別におかしいことではない.それと比較すれば日本の歴史教科書は神話的な見解を抑え,民族主義的な表現を極力避けているのとは対照的だ.




●韓国の歴史・文化に無関心な日本人に対するいらだち

 たとえば,韓国のマスコミでは今なお「親日派」というレッテルを売国奴的なイメージで使用する傾向があり,昨年秋,金大中(キムデジュン)大統領が日帝時代に少年兵
として軍事教練を受けていた当時の写真が新聞で報道され,物議をかもし出したがが,韓国は今でも「親日派」のレッテルをはられることを不名誉なこととする傾向が強い.かつて戦争が終結した1945年8月15日の「光復」と,李承晩大統領の大韓民国政府樹立以後,親日派に対する国民の怒りが沸騰し,日帝時代に親日的な行為をした人物を処罰するために「反民族行為処罰法」が制定された経緯があった.この法は反共政策を優先した李承晩政府の消極的な態度によって所期の成果をあげることは出来なかったが,その後もずっと今日に至るまで「親日派」糾弾の歴史的根拠として残ることとなった.韓国では親日派は長年,肩身の狭い思いをしてきた事実を知っておきたい.

 日本人一般の朝鮮の近現代史に対する無関心と無知を,韓国のマスコミが以前.問題視したことがあった.たしかに日本人の朝鮮史への理解度は低く,日本の植民地支配の歴史も日本史の教科書で軽く扱う程度であるから,近年の若者を中心とした韓国旅行ブームも歴史や文化に対する理解を深めることには全然つながっていない.韓国の古都の慶州(新羅の国都で郊外に仏国寺石造多宝塔や石窟庵など著名な遺跡が多い)は,日本でいえば京都にあたる存在であるが,その知識さえもない日本人観光客が実に多く.韓国人ががっかりするのもうなづける.もっと隣国の韓国の歴史や文化を学ぶ必要があるのだが,はっきり言って日本の歴史教育は隣国の文化を全然教えてこなかった経緯がある.豊臣秀吉の軍船を亀甲船で撃破した李朝の名将李舜臣や,伊藤博文をハルピンで暗殺した安重根(アンジュングン)は韓国の国民的英雄であるが,その史実も日本では余り知られていない.そのことに韓国人は少なからずショックを受けるのである.




●三一運動(万歳事件)の悲劇を忘れない韓国

 よく韓国人が日帝の野蛮さの例証として指摘するのが1919年の三・一運動(万歳事件)であり,たとえばこの事件を知らない日本人旅行者がソウルのタプコル(パゴダ)公園を訪れ,一連の記念レリーフに描かれているこの事件の真相を知らないことに韓国の年配の人達はくやしがるのである.「こうした重大事件を日本の歴史教育は何も教えていないのか?」と,嘆息をつき,本当に残念がるのである.

 日本からの独立を求めて,太極旗の波と独立万歳を叫んで韓半島全域で約200万人の市民が参加した三・一独立運動(1919年)は,韓国人の誇りといっても過言ではない.日本の憲兵,軍隊が徹底した武力弾圧で抑えこんだため,死者8000人余,負傷者2万人余を出したこの激しい反日独立運動は日本にも影響を及ぼし,1923年の関東大震災の際に数千人の朝鮮人が虐殺される背景ともなった.三・一運動は日本植民地支配への朝鮮民族が示した最大規模の独立運動として韓国国定教科書は詳細のその史実に言及している.日本の官憲が機関銃まで持ち出して女学生らにも発砲した残虐な事件として,韓国民なら誰もが知っている事件である.これまた日本では余り知られていない事件であり,またまた韓国人はそのことにショックを受けることになる.


 もう一つ教科書で重視している史実がある.1920年代満州と沿海州で大韓独立軍が日本軍に抵抗して激しい戦闘をまじえた.これにてこずった日本軍は満州軍閥との間で大韓独立軍を撃破するために三矢協定を結び,挟撃して壊滅的な打撃を与えた。当時,日本軍は満州の独立運動の根拠地の掃討をはかり,満州の韓国人を無差別に虐殺し,「間島惨変」(間島地方で約3000人虐殺)をおこした.やや細かい史実だが,この満州での抗日の戦いを韓国人は大変誇りに思っていることが教科書から読み取れる.


★ 近年,日本映画なども解禁となり,日本の流行などに敏感な韓国の青年たちも増え,逆に日本でも韓国映画が人気化したりして,どんどんと,両国の人々の草の根的な文化交流も深まっている経緯を考えれば,偏見や誤解も解消に向かっていくことは自然のなりゆきかもしれない.とはいえ,国定歴史教科書の数々の史実にみられるように,日本から受けた36年間の国辱は,いつでもたやすく噴火するというのも知っておかなくてはならない.残念ながら,歴史教育を通じて反日,嫌日の思潮を煽ぐ限り,真の両国の和解はやってこないだろうというのが,この教科書を読んだ時の感想である.






カルメンチャキ |MAIL

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