2008年03月22日(土) |
奥多摩・鍾乳洞とおばあちゃん巡りの旅・2 |
さて、二つ目は大増鍾乳洞。 日原鍾乳洞のすぐ近くです。 ここは、個人宅の敷地内に有る小さな鍾乳洞で、そのお家の人が案内してくれます。 民宿もやってるみたいでした。
入り口の看板だけは大きいのですが、標識に従って坂を上っていくと、そこは、どう見ても、よそのお家の庭先(笑)。 ベランダに洗濯物が干してあったりして。 お庭に、お社か何かのように、木造の料金所だけが、ぽつんと建っています。 無人の受付にブザーが置いてあって、それを押せと書いてあるので押してみましたが、しばらくたっても動きがありません。 もしかしてお留守なのか、ちゃんと押せてなかったかと心配になって、もう一度押そうとしたところで、とつぜん、 「うちは短いからね〜でもウンタラカンタラ〜」とか何とか、よく聞き取れない大きな話し声が!
(なんだなんだ、どこで誰が何をしゃべってるんだ?)と、きょろきょろしていると、家から通じているらしい階段から、おばあちゃんの姿がひょっこり現れました。 ああ、びっくりした。 『こんにちは』も『いらっしゃい』も無しで、いきなりべらべら話しながら現れるんだもん(^_^;) いえ、それは最初に言ってたのかもしれないけど、何しろ姿を現す前からもうしゃべってたから、私たちには途中からしか聞こえなくて、もう、ぽか〜ん……。
後でネットで知ったところによると、その鍾乳洞はとても小さいので、中には怒って帰ってしまう人もいるそうで、だから、そこの人は、必ず最初に『うちは小さいけどいいですか』と念を押すのだそうです。 それにしても、まだ姿も見えないうちからとは……(^_^;)
で、挨拶をすると、入場料を払うまもなく、いきなり料金所に飾ってある鍾乳石の解説を始めるおばあちゃん。 中の鍾乳石は触れないけど、ここにあるのは触り放題だとのことで、詳しい解説付きで、好きなだけ触らせてくれます。 でも、あの〜、まだ料金払ってないんですけど……(^_^;) おばあちゃんがどんどん解説を始めるので、お金を払う隙がありません(^_^;)
おばあちゃんは、我が家の鍾乳洞を非常に誇りに思っている様子で、近所の大手・日原鍾乳洞に並々ならぬ対抗心を抱いている様子。 私たちが先に日原を見てきたと知ると、しきりと日原を引き合いに出して、自分ちの鍾乳洞を自慢します。 何でも、おじいさんがこの土地を買って、庭に池を作ろうとして掘ったら、鍾乳洞が発見されたとのことで、その鍾乳洞を我が家のお宝として大切に守ってきた誇りが感じられます。
他の近所の鍾乳洞のこともいろいろ話してくれて、『よく自分を大岳鍾乳洞のおばあちゃんと間違える人がいるが、向うは93歳で、私はまだ70前』と強調。 大岳鍾乳洞のおばあちゃんというのは、ネットの鍾乳洞ファンの間ではちょっと有名な、名物おばあちゃんであるらしいのです。
鍾乳洞の入り口は、料金所の脇の床に開いた穴。 『隣の猫が入っておしっこをするから』ということで蓋がしてあって(蓋が無かった頃は、夜中に勝手に入って悪戯をする若者がいたりしたらしい)、鍵を開けて蓋を持ち上げると、ぽっかりと洞窟が口をあけています。
鍾乳洞は確かにとっても小さいのですが、鍾乳洞の魅力がぐっと凝縮されたミニチュアのような素晴らしさ。 日原は、鍾乳洞というよりただ岩窟というイメージが強かったのですが、ここなそういう乾いた鍾乳洞ではなく、今でも水が滴り落ちて鍾乳石を形成しつつある生きた鍾乳洞で、ストロー鍾乳石から水が滴り落ちる瞬間を観察できたりするのです。 確かに、何の解説もなしに、ただ入って出たら「なんだ、小さかったな〜」としか思わないかもしれませんが、ほんの小さな鍾乳石の一つ一つでも、おばあちゃんがいちいち懐中電灯で照らしては、その成り立ちや貴重さを解説してくれるので、ものすごく中身の濃い体験が出来ます。
おばあちゃんはさすがに慣れていて、名ガイドです。 しかも、言葉の端々に自分ちの鍾乳洞への愛と誇りが感じられるのが好ましいです。 大岳鍾乳洞のおばあちゃんとは別人だけど、こちらのおばあちゃんも、十分、名物おばあちゃんに相応しいかと。 ただ、ネットで見たところ、最近は主にお兄さん(息子さん? お孫さん?)が案内を担当しているらしく、私たちがおばあちゃんに当たったのは幸運な偶然だったらしいです。
「こういうのをしているとお出かけも出来なくて大変でしょう」というと、「まあ、だいたい誰かは家にいるから……」というお話でしたが、やっぱり、買い物に行ってたり、食事中のこともあればお風呂に入ってることもあるでしょうし、大変なんじゃないかなあ……。 個人でやっているので、家の人が留守だったり用事があるときはお休みのこともあるらしいので、見学できてラッキーでした。
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