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2003年07月25日(金) King of Solitude


「君は全然変わらないな」
俺はため息をついていた。どういう意味のため息なのか、自分でもよくわからない。別に彼女の変革を期待していたわけではなかったはずなのに。
「あなたが気付かないだけで、私にも変わったところはきっとある。ただ、あなたの変化が早すぎるから、あなたから見れば私が止まっているように見えるのだと思う」
あの頃、目の前の女、氷室真奈のスピードについていけない俺がいた。
いつかそれに追いつこうと思って走りつづけて、いつの間にか彼女のことを忘れていた。
久しぶりに会った彼女は俺の記憶の中の彼女のままで、俺はなぜか寂しくなった。
それは多分、俺と彼女がもう同じ時間には生きていないということがわかったせいだと思う。
その乖離が僕に孤独を与えるのだ。
「そういうところが変わらないんだ」
そもそも大事なのはスピードではなかったんだ……だが、それをあの当時の俺が気付くのは不可能だった。だから、今更後悔をするつもりはない。
「久しぶりに会ったんだし、どこか適当な場所でもう少し話さないか?」
それでもまだ彼女に興味があるから話をしたいと思う。それともこれはただの未練か?
「ええ、そうね」
俺は初めて氷室と会った場所を思い出した。


sora |MAIL