DiaryINDEX|past|will
| 2003年07月24日(木) |
Queen of Solitude |
「君は全然変わらないな」 有馬雅彦はため息をつく。 私に何を期待していたのだろう。 それにしても、と氷室真奈は思う。 彼はずいぶん変わった。 でもそれが普通なのかもしれない…。 「あなたが気付かないだけで、私にも変わったところはきっとある。ただ、あなたの変化が早すぎるから、あなたから見れば私が止まっているように見えるのだと思う」 あるいは、私は本当に止まっているのだろうか。もしそうだとしても、文句は言えない。 「そういうところが変わらないんだ」 そういうところって、どういうところ? わからない。 彼にとっての「私らしさ」が何なのかなんて、考えたこともない。興味もない。 彼にどう思われようが、いや、誰にどう思われようが、どうでもいい。 勝手に私に期待して失望して、そんなの知るかよ。
『それはただ予防線を張っているだけだよ。傷つかないためにね』
お前は黙っていろ! そんなありきたりな解答例を私に当てはめようとするんじゃない!
「久しぶりに会ったんだし、どこか適当な場所でもう少し話さないか?」 目の前の男が言う。その言葉が私を氷室真奈へと引き戻す。 「ええ、そうね」 私は一刻も早くこの場から立ち去りたいと思った。
|