diary of radio pollution
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弥生末日。
仕事への往路、いつも通る道の民家に立派な桜があった。まったく気付かなかったことに驚いたが、それは樹齢何十年も経つであろう大木だった。今宵、夜桜見物と決め、出勤。
どうやら強い雨は免れたよう。
帰路、疲労困憊の身体で自転車を漕いでいても、無意識のうちにいつもの道を通っているもの。しかし、しっかりと疲労している頭は今どこか理解できず、一瞬、桜の大木を見落とし通り過ぎた錯覚に陥る。大丈夫、まだ手前だった。
ひっそりとした路地を通り、いよいよご対面。遠くからでも、存在感が伝わってくる。街灯のない裏道の、大きな家の広い庭の真ん中に堂々と立っている桜は、暗闇の中でも、その白さが浮かび上がってくる。日付も変わった頃だった。
その後、家の前まで帰ってきたが、明日は休日だと今さら思い出し、夜桜見物に行くことにする。
自転車を低速で漕ぎながら、見上げる。昼間なら危ないが、誰もいないし、車も通らない。場所を移動し、桜がたくさん咲いているところへ。
本当に誰にも会わず、ひっそりとしている。静かに眠る桜。もう何本見たかもわからないほど、桜の下を見上げながら進む。次第に、ぼんやりとしてきたようで、色々なことを思い出す。
夜桜に別れを告げ、帰宅。
koji
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