出向コージ苑

2003年08月22日(金) 先生とお出かけ3

今日は海岸の町へ。
予習通りに切符を買い、予習通りに列車に乗り、
予習通りに到着した。
安心するけど、自分の興奮度はさすがに低い。

海岸は、もうすっかり秋の海。
泳ぐ人も少ない。
太宰だったか、秋の海を「捨てられた海」と書いていたが、
実際の現場に遭遇すると、絶妙な表現だな、これ。

ビン先生は、ここでも強運を発揮。
海から目抜き通りへと戻る道で、なんと現金拾得。
しかも割と高額の紙幣である。
大体、この国で現金が落ちているのに出くわす確率なんて、
南海時代のホークスの優勝ほど低い(=ゼロに近い)。
警察に届けようかという話も、勿論出たのだが、
悲しいかなここの警察は、あんまり誉められたものではない。
外国人が「そこでお金を拾いましたよ」と届けたところで、
その金が彼らの懐に入れられるだけだろう。
そこで、とりあえずとっておきましょうってことにしたコージ苑達って、
不正直で地獄行きかしら。

中央市場は、駅の真ん前にある。
観光ルートにも入っている場所だし、
何より先生が興味を示されたので御案内してみると、
こちらが気づかないうちに、
海岸にだけではなく、そこここに秋が来ていたようだ。
野菜売場では森のキノコが、
魚売場では初物のイクラが並んでいる。
それを見ていたビン先生、食指が動いたらしく、
急遽、本日の夕食を一緒に作ろうという話になった。
上記の「初物」シリーズと、脂ののったサケの薫製を購入。
七味屋氏宅で、手に入れた食材を調理する。

ゆっくり夕食をとった後、
シチリアからやってくる零子嬢を迎えに、
駅前の長距離バスターミナルへ向かう。
しかし、天気のせいか国境での混雑か、
到着予定時刻を大幅に過ぎても、彼女のバスは入ってこない。
夜も遅いし、ということで、先生は一足先にホテルへ戻った。

七味屋氏が先生を送ってくる間、
コージ苑は一人でターミナルを見張っていたのだが、
ふと目に付いた日本人観光客。
割と年輩のご夫婦であるが、とにかく危なっかしい。
手持ちのスーツケースを、いとも気軽にそこらに置いて、
ターミナルの入り口だか何だかを探しに行ってしまうのだ。
しかも、表示を探しているのか視線は常に上を向いた状態で、
ウエストポーチは完全にノーガード。
危ないよう、とはらはらして見ていたのだが、
もしかして彼らの目には、コージ苑こそ鞄を狙う女に見えたかもしれない。
彼らは不審げにこちらを一瞥し、そそくさと立ち去ったのである。
ええ、欧州で見る東洋人もアヤしいかもしれませんが、
現地の人間にも十分気を付けて下さいね・・・

七味屋氏が戻ってきて数十分後、
零子嬢は無事にL国に到着した。
早速、バスの中で遭遇した出来事を語る彼女。

彼女がバスを待っていると、ある女性に話しかけられた。
「日本人ですか?R市に行くのですか?」
わけがわからないまま、彼女がそうだと答えると、
その女性は紙包みを取り出し、
「これをR市で待っている男性に渡してほしい」と言う。
怪しいニオイがぷんぷんである。
変な事件に巻き込まれるのはごめんだわ、と零子嬢が断ると、
「御礼なら出します」と財布を取り出す始末。
遂に零子嬢は折れ、包みを受け取った。

しかし、どうも怖いので、車中で中身を確認すると、
自動車の窓拭き洗剤だった。
怪しい。ますますもって怪しい。
実はこの中身、ヤクなんじゃないかしらと疑いつつ、
零子嬢はバスでの時間を過ごした。

そして到着したR市のターミナル。
バスを降りると、一人の男性が近づいてきた。
「あなたですね、荷物を運んでくれた人は」
びびる零子嬢。
「私は○○石油会社の者です。いやあどうもありがとう」
そして再び「御礼を」と財布を取り出す男性を押しとどめ、
零子嬢は逃げるようにその場を立ち去った。

つまりは彼女、合法だか何だかわからないものの、
何かの運び屋をやらされたというわけだ。

彼女の旅は、スリルと共に始まったようだ。
お疲れさまである。


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