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HELEN&HEAVEN
Helen
MAIL

2004年12月23日(木)
泣きそう…



寒くなるにつれ、布団から抜け出せずにいる困ったちゃんは毎年変わらない。

とうとう始業ぎりぎりより1本手前の通勤電車になった。

近頃、会社寄りの駅について、降りる際…

とても懐かしい面差しをした男性を見かけた。

年の頃は、60歳前後か…

身長は私と同じくらい。

懐かしく思われたのは、昨年末、大腸癌から癌を再発して亡くなった知人に似ているからだ。

どんな愚問にも根気よく応えてくれて、いろんな知恵を授けてもらったなぁ…。兄のように慕っていた。

今夏のお墓参り以来、彼の母堂との書簡は2通目となる。

母堂は育児と家事だけに専念してきた昔の人だから、ほぼ文盲に近い。
おそらくは、孫からもらった原稿用紙に、何度も何度も下書きしたあとが見えた。

「もう、この世にはいないと、わかっていてもつらいです。」

子供が親より先に亡くなるなんて、こんな不条理は納得しがたい。
読むたびに泣けてくるので、引き出しの奥に眠っている。


彼の生きてきた年数は48年。
我々の記憶の中では、ずっと48歳のままで止まっている。

毎朝、通勤電車で見かけるお父様は…
丸くて小さな可愛いお鼻…。几帳面にキリっと結んだお口。メガネ…。
何から何まで生前の彼、そっくりだ。

彼が生きていたら、おそらくこんな風に歳を重ねて行くのだな。

年相応に薄くなった後頭部まで愛おしい。

どこへお勤めだろうか?
勤務先につくと腕に黒い汚れよけをはめて、1日中黙々とソロバンをはじいていそうだ。

初めて、そのお父様を見かけた時…

「あっ!Kさんっ!?」 心の中で叫んだ。

徒歩のお父様と自転車の私は、駐輪場へ寄るタイムラグがあるため、ある幹線道路で交差する。

見たら涙が滲んでくるので「見てはいけない。」と、自分に言い聞かせているのに…

目がどうしても、後追いしてしまう…。

(待って!待って!!…)

哀愁を帯びた真っ直ぐな背中は、今日も人混みに消えていく…。