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HELEN&HEAVEN
Helen
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2003年09月18日(木)
クロイツェル・ソナタ


ここしばらくトルストイの『クロイツェル・ソナタ』に夢中になっておりました。
読後感想文を述べたいと思います。

トルストイは『アンナ・カレリーナ』以来だわ。
ちょっと抹香臭いというか、お説教くさいところもあるけれど、人生の命題を深く探求していると思うわ、私は好きです。
アンナ・カレリーナの哀しい最後は、いただけなかったけれど、あれは、もう、どうしようもない選択だったのだろうと今も思います。

さて、この『クロイツェル・ソナタ』で性問題を痛烈に批判しているトルストイは、あとがきに何頁にもわたって『愛する者同士の性的な結びつきを、詩的な高尚な至福のように考えることをやめなければならない。』とか『愛の関係の持続にとって子供は邪魔であるという考えから、ヒニンしたりしてはいけないし、妊娠中や授乳中は、性行為を控えねばならない。』など書いているそうです。厳しいですし、作中の話しから照らし合わせてみると、ちょっと矛盾しているような気がします。

物語は、嫉妬から妻を殺めてしまった上流貴族の告白によってなっています。この場合、本当に愛して〃の嫉妬ではなく、どちらかと言えば「こんなに僕を苦しめるこの女を抹殺してやる!」という感じかしら?

導入部分で面白かったのは『なぜ性欲が過剰になるか』を真面目に説いていることでしょうね。
【例えば農民の若者の普段の食べ物はパンとクワス(ロシアのライ麦や麦芽を発酵させて作る、茶色い液体の清涼飲料。さわやかな酸味が特徴。)とタマネギ。それでも彼らは元気で溌剌として健康で軽い畑仕事をやっている。
これが『鉄道』の仕事にでると、食べ物もカーシャ(カーシャとは小麦やそばの実などを煮たお粥のようなもの)と肉400gになる。
その代わり500キロ近い手押し車を使う16時間労働に、この肉は消えていく。
ところが上流貴族は、肉や野鳥を800gずつ、その他ありとあらゆる興奮性の食べ物や飲み物をとっていて、これらはいったいどこへ行くのだろう?行き場の無い栄養分が、
『性欲の過剰となる。』これがしかるべきところにながれて安全弁が開いていれば、万事は無事だが、弁を閉じたりすると、とたんに興奮が生じ、それが人工的な生活のプリズムを通って、極めて純粋な恋や、時にはプラトニック・ラブとなってあらわれ、どうしたことか盲目の恋に陥る。】

…らしいですぞ。皆さま、注意めされ〜い。(笑)
なるほど、某新進女優は「肉喰うと男が欲しくなる。」ようで、事務所から『肉禁止令』が出たと他の女優がリークしていたが、口から入ったものが、そんなに悪さをするなんて、困ったちゃんね。(笑)

作中では『性』について『獣』のような捉え方をしているのがおもしろいです。【とりわけ女性は、人生では他の男に比べて一人を何年も思い続けるなんてことは、ごくたまにしかないことで、たいていは数か月間、数日間、数時間しかつづかないらしい。】ですよ、淑女の皆さんは胸に手をあてて考えてみましょう,いかがですか?

【上流社会の貴婦人も、売春宿の女も本質的に定義は同じようなこと。
もし人間が人生の目的や、人生の内容によって、さまざまであるとしたら、その差異は必ず外面にも反映して、外面もさまざまになるはず。ところが、みなに軽蔑されるあの不幸な女たちと、いちばん上流社会の貴婦人たちとを比べてみよう。装いも同じなら、ファッションや香水も同じ、腕や肩をあらわにする点、ヒップを強調するためのパッドも同じなら、宝石や高価な華やかな品物に対する情熱も、気晴らしやダンス、音楽や歌もまったく同じではないか?向こう(この場合は女性全体をさしているように思われる。)があらゆる手を使って誘惑しにかかっているように、こっち(男性側?)も同じ事をしている。なんの違いもない。いやらしいセーターだの、ヒップ・パッドだの、肩や腕や、ほとんど胸まであらわに示すドレスなどは、みなそのためである。
女たち、それも特に男修行をつんだ女は、高尚な話題の会話なぞ、単なる会話でしかなく、男が必要とするのは肉体と、それを最も魅惑的な光で誇示するものすべてにほかならぬことを、十分承知している。
厳密に定義すれば、短時間の売春婦はふつう軽蔑され、長期の売春婦は尊敬されるらしい。】うーん・・(〃 ̄ω ̄〃ゞ お耳が痛いわ。心理的に鋭いとこ突いてくるわね。

『相思相愛』についても手厳しく、作中の登場人物に、こう言わしめていらっしゃいます。
【エンドウ豆を積んだ荷馬車の中で、目印をつけた二人の豆を並んで発見するのと同じくらいありえない…。】と。
この場合【“問題”は人の心の頼みがたさだけでなく、確実に飽きがくるということである。一人の女なり男なりを一生愛し続けるなんて、一本の蝋燭が一生燃え続けると言うのと、まったく同じ事。】なんですと!(笑)

そうだねー。いっつも同じご馳走だと、確かに飽きちゃうかもねー。
…かといって、相手をころころチェンジするわけにも行かないですしね。(笑)

親会社のA課長の亡くなった奥さんは、結婚前に独身のA課長のマンション前で、網を張っていたそうですよ。
M課長の奥さんは(社内恋愛で)、M課長の前の恋人(社外にいた)との仲を裂き、用意周到に「イタシタ♪」ことを会社中に吹聴し、結婚にまで持ち込んだツワモノです。

みんな、がんばりやさんねぇ。ε-(´・`) フー (笑)

計算づくでA課長との結婚を手に入れた、A課長の奥さんは亡くなり…

さるところの御曹司のM課長というブランドを手に入れた奥様は、元々愛情があったわけではないので、子供を使って父(M課長)をいじめているそうです。

…というか、「お父さんをいじめるとお母さんが喜ぶ♪」という図式が成り立っているようで、今、M課長と奥様は憎しみあって暮らしているようです。

個性と個性が同居するには、忍耐というものが必要になってくるのでしょうか。