親会社では、毎年この時期になると1年間の各部署の成果報告をやる。
100名程収容できる会場を借りきって確実に、やる。
子会社の我々の一部人間も来客として、参加する。
マイクロソフト社のプレゼンテーション用ソフト「パワーポイント」を使って皆の前で発表する。
今年の我が社は、“うそつき工場長”が作った資料を元に、“あくどいK課長”が発表し、“プリティつねひこ(←いちおう課長)”がパソコン操作。
つねひこは必ず期待通りの失敗をしてくれる。 ツッコミ所満載の男だ。
ぁあ、おかあちゃん心配σ(”ε”;)。 …付き添って行きたいわ。(ってツネちゃんの方が年上やん。笑)
そしたら、憧れのA課長にも会えるやん。(←これが本音と下心)
そんな私のいやらしい欲望を嗅ぎ取ってくれた神様、ありまとう♪
前日、親会社の息継ぎしない体重3桁の私の友が、「一度、見学してみたら?」と向こうから誘ってくれた。
いやいや、悪いなぁ。 当初、工場長のセダンで行く予定だったが、私がお仕事のため、中座せねばならぬ理由から、自転車を積めるべく、ワゴンに変えてくれた。
工場長は、短気のせっかちだ。 「駐車場がいっぱいになってしまうからな、12時過ぎには出るデ!」 (発表会は1時から。)
しめしめ、早く着けば着くほど、A課長とお話しできるチャンスの時間が増えるやん?! 前の晩から泊まり込んだろうかいっ?(おいおい
ぁあ、朝から、わくわくそわそわ…
いつもより念入りに念入りに…、だけどケバくならない程度に、化粧を施す。 まつげなんか、まぶたにくっつくほど、UPUP♪ 殺人できそうなくらい、鋭利で太いでぇええん♪
確か去年のA課長は、他の会社に来賓として招かれてたんだっけ…。 今年も、そうだと会えないね。 会えなくても、それはそれで仕方なしあきらめるとしよう…。
そして、ドキドキしながら会場へ着いた。
親会社の成果発表会担当のツカオが嬉しそうにするすると寄ってきた。 ツカオは、まったく使えない給料泥棒の最たる者である。 窓際に追いやられ窓から墜ちそうなクセして、しぶとく来年の定年まで居残るようだ。
ツカオ:「まだ、会場開いてないねんわ〜。ほほほほ」
…(ー_ー;) だから何?
適当にいなして、会場の横へまわると、長椅子に斜めになって座ってタバコをふかしているオヤジがいた。
全体に灰色の服装で、センスないなぁ…。 地味過ぎて、大勢の中では紛れてしまうタイプだ。
しかし、近づきながらよくよく見ると…
ハッ!( ̄∇ ̄ ;) 憧れのA課長やないですのぅん♪♪
いつも制服姿の彼の私服を初めて見た。 男やもめって、こんなもんか。 一緒になって、斜めに座りたい衝動にかられるが…
胸のドキドキが上回る…
A課長:「おっ?今日は、どないしたん、珍しいやん。」と
話しかけてくれた。あんたこそ、珍しいわよ、話しかけてくれるの。
(↑内心の声
それもそだな、私は子会社の何の役職も持たない一事務員だ。
私:「はい、今日は、鈍くさいツネヒコの保護者として付き添って来ますた。 \(σ_σ)イエース」
A課長:「ハハハ♪ (*’▽’)」
本当は、本当は…
アナタニ アイニキタノデス… ズット アイタカッタ… タダ ソレダケ…
声にならない言葉を飲み込み、A課長の隣にスタンド灰皿を挟んでツネヒコ、私の順に座る。
ツネヒコは、神経質に原稿を読みかえしている。
ちょっと本番前に、攪乱しといてやらう。 ヽ((◎皿◎ ))ゝキシャシャシャシャシャシャ
出かけにプリントアウトしておいた、「宇宙人」だの「半魚人」だのあやしいコピーを手渡してツネヒコに言った。
私:「そんなもん読まんと、これでも読んどけやぁ〜。`∀´)Ψヶヶヶ」
ツネヒコ:「はっ、ありがとうございます。でも、これ端が切れてますね〜ぇ。 (*´▽)ノくすー♪」
そう、後から私も気づいたのだが、印刷マージンが合わなくって、1列分見事に切れていたの。読破するには推量が要る。
私:「e( ▼Д▼)ノ"じゃっっっかああしいいんじゃぁ〜い!!黙って読んどけ!!」 ↑ 上司に向かって逆切れ
ツネヒコ:「はっ、す・すいません。ε=ε=ε= ヒイィィィ!!!!( ̄⊥ ̄ノ)ノ;; ビクビク。」
A課長がツネヒコに向かって、「いつも、そんなん読んでるの?(ΦωΦ) ブブッ」と嬉しそうに笑っている。
その時、見た! 初めて、見た!!ウワサの可愛い八重歯ちゃん♪ タバコをばかすか吸うクセになんて白い綺麗な歯なんでせう!!
そのうち、ツネヒコがトイレに立った。
残されたA課長と私は、急に無言になってしまった。
何を話せば良いんだろう…。
手を伸ばせば届きそうなヒトなのに…。
憧れて、憧れすぎて本末が転倒している…。
心臓の鼓動を気取られそう…。
A課長からの社用電話はいつも声が裏返ってしまってるし…。σ(⌒▽⌒;)
ええい!辛抱たまらん!!
わたしもトイレに立つことにした。
チャンスの神様の好意を袖にした罰か、その後、A課長とお話しする機会には恵まれたなかった。(/_;)
それでも、嬉しくてニヤニヤしながら帰途についた。
その日ツネヒコは、期待通りに、やらかしてくれた。
緊張のあまりクリックし過ぎ、プレゼンテーションのコマを進めすぎたのだ。
鈍くさいけれど、賢明な彼は、ジィーッと固まったまま動かずにいた。
遠く離れて座っていた私は、ただ、ニヤニヤ見守っていただけです。(おいおい
すかさず親会社の総務のヒトが直してくれた。
さすが、つねちゃん♪ やってくれるぜ!!
(・∀・)イイ!!
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