2004年07月06日(火) |
ナ・バ・テア None But Air/森博嗣 |
ただ空があるだけ。 タイトルそのままのおはなしでした。 職業飛行機乗り(軍人や戦闘機乗りではないと思う)のクサナギ、空から離れては生きていけない、生きたくない、そういうわがままなまでの空への憧れ(とは違うかもしれないが一番近い)。 文章もレイアウトも読みやすく、淡々とするすると読めてしまうだけに、そのクサナギの想いに粘度を感じてしまいます。 願わくば、争いがなくなった空でもクサナギが飛び回っていますように。 前作「スカイ・クロラ」同様、すてきな装丁も、小説のイメージにぴったり。 散香、翠芽、泉流、というネーミングもとてもきれい。
躰が軽い、と感じる。 この軽さが、僕のすべて。 愛するために生まれてきたのではない。 愛されるために生まれてきたのでもない。 ただ、軽く……、 飛ぶために、生まれてきたのだ。
森博嗣:ナ・バ・テア None But Air,p.299,中央公論新社.
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