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2004年05月31日(月)   月魚/三浦しをん

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古書店『無窮堂』の若き当主、真志喜とその友人で同じ業界に身を置く瀬名垣。二人は幼い頃から、密かな罪の意識をずっと共有してきた――。
瀬名垣の父親は「せどり屋」とよばれる古書界の嫌われ者だったが、その才能を見抜いた真志喜の祖父に目をかけられたことで、幼い二人は兄弟のように育ったのだ。しかし、ある夏の午後起きた事件によって、二人の関係は大きく変わっていき……。(裏表紙より抜粋)
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やっとの文庫落ちで購入。
アレだアレだという噂を聞いていたので、どんなものかと思っていたのですが、アレでしたね。
この二人の関係、ほんとに友情ですか?と疑問に思うくらいの気遣いと言動で、ほんとにうさんくさい関係。
が、この二人の関係だけじゃなく、古書の買取と二人の過去の重荷を巡るやりとりがおもしろかったです。お互いがお互いに対して気まずい罪の意識を抱えていて、もう一歩を踏み出せないという気持ちの揺らぎが(うさんくさい関係を除いても)ストイックで、繊細でした。
書き下ろしの「名前のないもの」も二人の古書への想い入れが伝わってくるすてきな話でした。



「相変わらず君たちはうさんくさいねえ(略)いつまで親友ごっこしてるんだい」
「親友ごっこ?(略)そんなことはしてないぜ。買い付けの相談をしてただけだ」
「それに私たちは『親友』じゃない」
と真志喜が冷静な声で指摘した。瀬名垣は反論しようとし、秀郎はあっさりと頷いてみせた。
「だから僕は、『ごっこ』って言っただろ」
なるほどね、と真志喜は拍子抜けするほど素直に感心してみせ、さっさと踵を返して門から離れた。


三浦しをん:月魚,p.30-31,角川書店.















ゆそか