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2004年04月16日(金)   断鎖《Escape》/五條瑛

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過保護な両親から逃れるために家出を繰り返す亮司に、謎の男・サーシャはこう囁いた。「革命を起こさないか、この国に」と――。「革命」という言葉から一番かけ離れている平凡な青年が、アジアの趨勢に翻弄されながらも、少しずつ成長を遂げてゆく。(裏表紙より抜粋)
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文庫落ちしないと思っていた「R/EVOLUTION」シリーズの第一弾です。
ハードカヴァの美しい表紙を文庫には期待していませんでしたが、ここまで素っ気ない表紙なんて…。出版社は売る気がないのかもしれませんね。
今回も文庫落ち恒例のおまけ短編付き。サ様と亮ちゃんの甘い生活(偽)が垣間見えます。
裏表紙の粗筋に、「アジアの趨勢に翻弄されながら〜」なんて書かれていますが、むしろ亮ちゃんを翻弄しているのはサ様。弄びすぎ。
でも、サ様になら弄ばれてもよいです。
こんなにイイオトコ続出の五條小説、読者の多くがおっさんだと最近知ったのですが、内容が内容なので仕方ないけど、もっと若い女性に読んで欲しいものです。



長い指で顎を支え、悩ましげに目を細めてサーシャが笑う。他人の不幸を思い切り楽しんでいる顔だ。偽善者面の欠片もない、清々しいまでの潔さに亮司は却って胸がすく気がした。この男は自分を繕わない。繕う必要もない。他人が自分をどう思っているかなんてまったく興味がないし、また、どう思われようと平気なのだ。それだけ強く”自分”というものを持っているのだろう。(略)
――悪魔。
亮司は心の中で呟くが、その呟きを吐き出す気にはなれず、ワインと一緒に呑み込んだ。


五條瑛:断鎖《Escape》,p.331-332,双葉社.















ゆそか