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2003年10月13日(月)   陰陽師 生成り姫/夢枕獏

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十二年前、月の明るい晩。堀川の橋のたもとに立ち、笛を吹く源博雅と一人の姫。すべては二人の出会いから始まった――。淡い恋に思い悩む友を静かに見守る安倍清明。しかし、姫が心の奥底に棲む鬼に蝕まれてしまった。(裏表紙より抜粋)
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短編ばかりだったこのシリーズ、初の長編です。
映画化・漫画化の影響か、このシリーズ360万部突破とか。立派です。
さて、今回はなんと言っても、鬼と成りかけた姫の描写が怖い。
長い髪を逆立て、顔には丹を塗り、赤の破れ衣を纏い、鉄輪を頭に被り、鉄輪には蝋燭が揺らめいている。額から皮に包まれた角が盛り上がり、目尻は裂けて眼が迫り出し、口は耳元まで裂け牙が長く伸び、唇からは血の玉が浮いている。
こんな姫に向かって、「鬼になったそなたが愛しいのです」なんて言える博雅って、ほんとにすごい。
姫は博雅に救われたでしょう、きっと。



「人と、鬼とは、ふたつにわかつことのできぬものだ。人あらばこその鬼で、鬼あらばこその人なのだよ(略)人は誰でも、時に、鬼になりたいと願うことがあるのだよ。誰でも皆、心には鬼を棲まわせているのだ」


夢枕獏:陰陽師 生成り姫,p.291,文藝春秋.















ゆそか