2002年11月30日(土) |
陰陽師 鳳凰ノ巻/夢枕獏 |
短編連作の陰陽師シリーズです。 今回は、晴明さんのライバルと言われている、廬屋道満が何編かに登場してきます。 けど、全然ライバルには思えない関係ですね。お互いに一目置いているというか…。法術比べをするにしても、争うよりは楽しんでいるように見えます。 ちょっと道満さんの方が晴明さんをからかっているような感じもしますが、晴明さんもそれを楽しんでいる感じ。 ライバルって言われてますけど、こんな関係もおもしろいですよ。 今回は、この道満さんの印象が強くて、博雅さんがあまり目立ちませんでしたが、それでもやっぱり博雅さん。おいしいとこでボケてくれてます。
「博雅よ、散らぬ花などはない(略)散るからこそ花ぞ」 「しかし、おまえという枝から、全ての花びらが散りきってしまうことなど、おれにはあるようには思われぬのだがなあ……」 しきじみと博雅は言った。 晴明は、博雅を困らせぬ程度に、微かな笑みをその唇に浮かべた。
夢枕獏:陰陽師 鳳凰ノ巻,p.116-117,文藝春秋.
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