自分の将来に不安を持ち、孤独を感じている中学生のさくらと梨利は、あることがきっかけで話さなくなってしまう。それを心配し、どうにかしようとする勝田くん。さくらの出会った不思議な智さんは、地球の滅亡から人類を救うための船を設計し続ける。誰もが壊れやすいこころを抱えて、苦しんでいる。 この本、おそらく対象は中学生以下なんですが、とてもおもしろい。大人が読んでも、なにかを感じることができると思います。でも、できればその頃に読みたかった本。 自分の存在意義がわからなくなったり、自分が嫌いになったり、ひとりになりたかったり、ひとりになりたくなかったり、そんな複雑な気持ちを抱えている中学生の登場人物たちを見ていると、切なくなってきます。 子どもには、自分の存在意義が肯定される環境が必要です。まわりから認められない自分を、自分だけが信じてあげることなんて、とても難しく辛いことだと思うのです。
ぼくわ小さいけどとうといですか。 ぼくはとうといものですか?
森絵都:つきのふね,p.226,講談社.
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