A Will
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2005年12月01日(木) |
あんたのものでいい。 |
わたしは首を振った。 ぱたぱた。そんな音が立ちそうに涙が零れた。
「泣いてるの?」
困ったみたいに。小さい子に話しかけるみたいに。
「泣いてなんかない」
強がりじゃなくて、本当に泣いてるつもりなんかなかったんだ。
「お前らしいな」
頭を撫でられる。 それが酷く優しくて、かえって全身が痛み出すようなそんな感覚。
「5年も経てば解るよ」 と。
君は言った。
16歳の冬だった。マフラーを忘れて、凍え死ぬと思ってた。 わたしはきっと恐ろしく子供だったのだろう。
あの時の君と同じ年齢になったよ。 そして、また冬だ。
5年。
君が苦々しく笑って呟いた言葉を、 わたしは未だに時々だけど思い出すよ。
「連れて行きたいけどなぁ」
それがすべてだよね。
一緒に行けるはずなんてなかった。解ってたよ。恐ろしく子供のわたしでも分かったよ。
でも。あの日のわたしは。できることならきみのものになってしまいたかった。
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