A Will
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2005年12月03日(土) 雲の切れ間の青の下。

今日も冬。
1人きりだった。ざくざく歩く。1人きりでよかった。


1人きりが良かった。



ナスとモッツァレラチーズのトマトソースパスタ。
ミネラルウォーター。


わたしも大人になったもんだ、とガラスをすり抜けてきた日差しを浴びて思った。




泣き出しそうだった、なんて誰が信じてくれるんだろう。
剥げた透明マニキュアが涙を誘うな、とナスを頬張りながら思った。




会いたい人が思い浮かばなかった。

たくさん居すぎて、誰でもいいような気さえして、そうしたら申し訳なくって、



モッツァレラチーズをフォークで刺す。
頼りないその感触に、ああ1人だ、と思い直す。


ひとり。


その響きに多分救われてる。





悲しかったわけじゃない。
寂しかったわけでもない。

ただ。

冷たい手が、どこにでもあった、あの冷たい感触が。



しろく。ひえた。しんから。



なんで今更。見つけてしまった。あの笑顔を。


捨てたはずだった。すべて。失くしたつもりだった。
あんなのあったら、わたしは生きてなんかいけない。


そばにいたい。会いたい。ここに来て。




いつだって見つけてくれたのだ。どこにいても。なにをしてても。
赤い花の下。桜の木の下。どこかの塀の下。



携帯も、ポケベルさえなくて。
待ち合わせ場所に必ずたどり着けないわたしを、見つけてくれたのだ。




あの笑顔。















幸せでたまらない、君がわたしを見つけてくれた瞬間の。












せめて、君の写真なら良かった。
それなら、わたしはただ黙ってそれを粉々に千切って川にでも流せたのに。




わかってるよ。
何度も何度も何度も!

思い知ってるんだ。どんなに逃げたって。どんなに他の人を好きになったって。
他の人に抱かれたって。嘆いたって。喜んだって。
嘘でも虚勢でも強がりでもなくて大丈夫だって言えたって。君を思い出さない日が何日もあったとしたって。



わたしは、君を好きすぎてる。

君を好きで幸せすぎて、多分、それで完結しちゃったんだ。










わたしは偶然に君に会って、当然に君を好きになった。


ただそれだけのこと。






君を感じ続けるなんて、そんなこと出来もしないのに。

こんな日は君に良く似合うから。
そして、わたしはきっと迷子みたいな顔をしてるはずだから。




その全部を君にあげたいって思ったんだ。


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