A Will
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2005年09月19日(月) 帰りたくない子。

それは1つの小さな癖だった。
小学校5年生からの小さな習慣。

家の玄関を開ける前に、必ず中の物音を確認してから家に入ってた。


中で喧嘩していたら、ものの落ちる音とか壊れる音とか怒鳴り声とか。
聞こえても、聞こえてなくても、
わたしは素知らぬ顔で「ただいま」を言うしかなかったのだけれど。





怒る人は嫌い。
だって人の話聞かないんだもん。






楽しい話題を見つけてた。
楽しくないと、不穏な空気が流れはじめると心臓がバタバタしちゃって仕方なかった。




我慢、という言葉を覚えたのはいつだったんだろう。







黙って、わたしを全否定するセリフを聞いてればそれで済んだ。
時々は殴られたりしたけれど、それはそれで痛いだけで済むからどうでもよかった。



わたしは、部屋も片付けられないダメな子で、
そうして、ちっとも家族を大切になんかしない冷たい子で、
家族じゃないみたいな子供、らしい。



あぁそうなのか、と黙って聞いていた。





伝えたいことが思い浮かばなかった。
聞いて欲しい出来事が、ずっと昔から家に帰ると萎むのが反射みたいになって、

ただ、黙って、怒ってる顔を見てれば、時間がどうにか過ぎてくれるのを知ってるから。






「分かって欲しいことなんか1つもないよ。そうやって育てられたんだよ」

やっと言った一言に、なんで傷ついた顔をされなきゃならないんだろう。





分かってもらおうなんて、あの頃に本気でそんなことを目指してたら、
わたしきっと耐えられなくて死んじゃってたに決まってる。


何回、同じ事を求めれば良いの。
何回、同じ事で傷つけば良いの。



悪いけど、そんなの飽きちゃうよ。






どうして、そんなことにさえ気付かないんだろう。






わかんなかった。
わかりたくもなかった。


ホント微塵もうっすらとも興味を抱かせない。











嫌いなんだ、と言ったわたしに、君は急に笑ってあの時
「厄介だね」と一言いってくれたのを、ふと思い出した。




家族がいなくて不自由なのと
家族があって不自由なのと、どっちがどれだけ不便かな、と言い合った。




ないよりは、あるほうが便利だよ。多分ね、と結論。





家族って苦手。

苦手、というよりは嫌いなんだ。どちらかといえば。




けれど大切。ものすごく。




だから思う。


家族って悲劇。


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