A Will
DiaryINDEX|past|will
2005年03月11日(金) |
純粋じゃない思いばっかりの恋。 |
お前をそこまで懐柔させるんだから、相当だね。
そう言って微笑むのを気障だと思わないでもなかったけれど、 似合ってるから放っておく。 懐柔、という言葉の意味が解らなくて、わたしはそのとき曖昧に笑い返した。
振られる3ヶ月前くらいの頃の話。
他愛もない。 同じ名前の人だと知ったのは、もう少し後だった。
同じ名前の人に、変な出会い方をして、そうしてまた好きになった。 今度は触れられないような、ただ「好き」になった。
一度だけ殺されそうなほど抱きしめられたけれど、 わたしが死んだら困るだろうから死なないでおいた。
多分、奥様と婚約したころだったんじゃないのかな。
うきうきと、それでいてはらはらとしながら、 わたしは、あのとき想いを伝えようとドアを叩いた。
あのね、と切り出す前に 今度、結婚するんだ、と切り出された。
すさまじく計算された、丁寧な言い方だと思った。瞬時に。 泣かなかったし、心から祝福もした。
『この男に愛されたい』などという圧倒的な好きじゃなかった。 それでも、『この男には愛されたい』というどろっとした思いはあった。
どうして苺を食べるみたいな、瑞々しい予感がないんだろう。
死んだ人間に想いを馳せるのと、 死んだ恋に想いを残すのと、どっちがより悪趣味で不毛だろうか。
(両方だよねー・・・)
妙に納得した一言。 鋭いなぁ。賢いなぁ、とおもったけど実は失礼なんじゃないの?
|