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りょうちんのひとりごと
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2018年07月06日(金)
Vol.870 あの日のホンビノス貝

おはようございます。りょうちんです。

【ホンビノス貝】北米大陸東海岸からメキシコ湾にかけて分布するハマグリに似た二枚貝。近年は東京湾でも急激に繁殖している外来種だが、在来種に被害は認められていない。食用で、ハマグリよりも安価で販売されている。
幕張の海に弟一家が磯遊びに出かけたのはゴールデンウィークも過ぎた頃だったろうか。例年より季節の巡りが早い今年、子どもたちをまだ少し冷たい波打ち際で水遊びさせるには絶好の日曜日。腰の高さまで波が深い場所へ進むと、時々足元にコロコロと石がぶつかることに気づいた弟はそれを拾い上げた。それは石ではなく、貝。最近スーパーなどでも見かける、ホンビノス貝だった。弟は持っていたビニール袋に貝を採取して、思いがけない潮干狩りになったとたくさんのホンビノス貝を持ち帰ってきた。数にしておよそ100個。当然実家にもそのおすそ分けがやってきた。
貝類が嫌いな父は無関心だったが、俺と母は大量のホンビノス貝に大喜びした。さっそく酒蒸しにしようと鍋に並べたが、貝そのものが大きすぎて全部は入りきらない。何度か貝を入れ替えつつ、それでもなかなか身が開かない貝に悪戦苦闘しながら、ようやく酒蒸しが完成した。身が少し硬かったので義歯を使う母は電子レンジでさらに過熱して小さく切って食べていたが、俺は豪快にそのまま身をはがして口にほおばった。うまい。さすがにハマグリには敵わないが、しっかりした噛みごたえで、ほのかな塩味に貝の甘みが濃厚に絡んでとてもおいしい。酒蒸しをおかずに、それだけでおなかいっぱいになった。
俺が今入院しているのは、もしかしたらあの日のホンビノス貝が原因だったのかもしれない。もちろん確信したわけではないが、俺の肝臓を侵したウイルスは主に二枚貝などに多く潜んでいるらしく、十分な加熱処理をせずに食べてしまうと発症してしまうらしい。潜伏期間は2〜6週間なので、俺の思い当たる節はあの日のホンビノス貝なのだ。弟一家の周りでも俺と同じような症状が現れた人は今のところいないし、加熱処理さえ十分にすれば発症もしないらしいので、俺の場合は完全なる自業自得なのだが。あなどるなかれ、貝。改めて、そう思った。