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2017年06月13日(火) ■ |
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Vol.855 10年後の結婚式 |
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おはようございます。りょうちんです。
今から10年ほど前。当時かわいい高校生だった彼女は、いつも元気で明るく仕事もてきぱきこなす働き者だった。好奇心旺盛で新しい仕事にも積極的にチャレンジして。律儀で面倒見が良く、年下の後輩からもパートさんからも誰からも慕われていた。頭の良い彼女には大学進学という道もあったはずだが、高校卒業後はアルバイトの経験と特技を活かし、調理の専門学校へ進学した。自分の好きなことを極めたいという意思は、固かった。 俺と彼女が一緒に仕事をした期間は、彼女が高校生から専門学校を卒業するまでのたった3年足らずだったはずだ。接点はそれだけ。でも彼女とはその後も年賀状のやり取りや、時々集まる飲み会の席で近況を聞くことができた。ホテルのレストランに就職した彼女はそこで厳しい修行をしたあと、卒業した専門学校で調理の講師となった。教えることが上手で、なおかつ自分の好きなことを仕事にできるなんて、彼女には適任だと思う。 6月の日曜日。俺は新潟行きの新幹線に乗った。彼女の結婚式に出席するためだ。千葉から遠く新潟まで、俺なんかが彼女の結婚式に出席していいのか不安はあったのだが。彼女の「ぜひ来てください!」の声に、足を運ぶことにした。海の見えるチャペルでの式が終わり、そのまま日本海と佐渡島が一望できる見晴らしの良い会場で披露宴が執り行われた。花嫁姿の彼女は、あの頃の面影を残しつつもずっときれいな女性に変わっていた。 「今の自分があるのは、アルバイトで働いた日々が原点です。ありがとうございます!」なんて、改めて言われたけれど。俺は何もしていない。彼女が人生の分岐点だった時に、そばにいただけ。彼女が一生懸命走っている横で、頑張れと声援を送っただけ。頑張ったのは彼女であって、俺はそれを見ていただけ。それでも、彼女がそう言ってくれるのが心からうれしい。あれから10年後の結婚式に招待してくれる心遣いが本当にうれしい。 新潟まで行ったのに、観光はできなかった。だから今度は結婚式に参加できなかったみんなと一緒に、また彼女に会いに新潟に行こうと思う。
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